商店街の大規模火災どう防ぐ…消火まで40時間かかった「鳥町食道街火災」、発生から1か月経過も現場には大量のがれき残されたまま
北九州市小倉北区の鳥町食道街の一帯で起きた火災から1か月。現場には、今も多くのがれきが残され、撤去のめども立っていません。それでも復興に向けて前を向く人々。一方で行政は、相次ぐ商店街火災をどう防ぐのかという難しい課題と直面しています。
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鎮火まで40時間、消火が難航した原因は
今回の火災では木造の店舗が密集する商店街に一気に火が燃え広がり鎮火までに40時間以上かかりました。北九州市消防局はがれきやトタンが消火の妨げになったと振り返ります。
北九州市消防局 行徳泰男警防課長「がれきとトタン。トタンは金属なので、水をどんどんかけても浸透しない。放水してトタンの上から冷却する形になる。それで時間を要した。木造密集で一旦火が出ると拡大するのは、避けるのは難しい。一旦火が屋根裏に入ってしまったら、木造密集の地域が燃えてしまう想定が必要。街区から絶対に出さない。損害最小限にするための活動をしないと行けない」
北九州市ではおととし、旦過市場一帯で2度の大規模な火災が発生しました。このため、消防は防火指導員を配置するなどして対策を強化していました。市消防局によると、「鳥町食道街」の22店舗のうち防火指導員による指導は、去年10月と12月に19店舗で実施。このうち16の店舗には消火器が設置されていたということです。また、去年の北九州市の火災件数は197件で1963年の市の発足以降で最少となり、初めて200件を下回りました。火災予防の成果も出ていただけに、今回の火災について担当の職員は、「人の意識」に働きかける指導の難しさを口にします。
北九州市消防局 渡邊晴久予防課長「人の意識は(指導を)何回やったらうまくいくということがない。もし人的要因があるとすれば、十分に指導が行き届かなかったこと。防火意識を高められなかったということは一つの要因。粘り強く防火指導を行っていきたい」
店舗の危険度を5段階に分類、意識向上を図る取り組みも
商店街の防火対策では、こんな例もあります。愛知県の名古屋市消防局では「消火器設置の有無や理解度」など18項目を調べて危険度を5段階に分類。危険度が高い店舗を優先的に防火指導をするようにしました。その結果、店側の防火への意識が向上し危険度判定3以上が60店舗から26店舗まで減少しました。
名古屋市中消防署予防課 小笠原茂係長「危険性が高いところを把握して、そこに人員や時間をつぎこんで、重点的に取り組んで出火危険を減らすことができる」
木造の店舗が密集する商店街は、一旦火の手が上がれば、消火に時間がかかるだけに、いかに迅速な初期消火ができるかが重要となります。
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