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「一生走り続ける」脳性まひのランナーがマラソンに出場…32キロを目前に“閉鎖時刻”が迫る

「北九州マラソン」には1万人を超えるランナーが参加しました。その一人で、障害を抱えながらフルマラソンに挑戦し続ける男性を取材しました。

7年前から始めたマラソン、ジム仲間がきっかけ

青空の下、およそ1万1000人のランナーがゴールを目指して駆け抜けました。苦しそうな表情を浮かべるランナーも多い中、笑顔で走る男性の姿がありました。北九州市八幡西区に住む会社員・松浦慎一さんです。生まれてすぐに脳性まひを発症。今も右手にまひが残っています。

松浦さん「発作が起きて入院してその繰り返し。元々発作で体力がなかったというのと、走っていても歩いていてもつまずいたりこけたり何回もしていたので」

元々、体を動かすことが好きだったという松浦さん。マラソンに挑戦したのは、7年前のことです。体力をつけようとジムに入りそこで知り合った人から「一緒に走ろう」と誘われたのがきっかけでした。最初は5キロほどでしたが、少しずつ距離を伸ばし今では、全国各地のフルマラソンに挑戦。2020年の北九州マラソンと去年の神戸マラソンでは完走を果たしています。

人との「出会い」が市民マラソンの魅力

松浦さんは普段、仕事終わり休日に近くの山や公園で練習しています。

松浦さん「(自分の)走る姿を全国に見ている人がいるのなら、少しでも勇気を与えられたらいいなと同じ障害者として」

私も松浦さんと一緒に完走を目指します。給食に加え、人との出会いも市民マラソンの魅力です。沿道からの声援に応えるなど順調に走っていましたが、20キロ付近で変化が―。

松浦さん「アップダウンが半端ない、足が痛い。痛すぎてなにも考えられない両方痛い」

足の疲労は限界に近づき、ペースも落ちましたが、松浦さんはあきらめません。

松浦さん「32キロ地点に行きたい、少なくとも1は行きたい走れる限り前へ進みたい」

迫る“閉鎖時刻”をにらみながら力を振り絞った

スタートから4時間半、32キロ地点の閉鎖時間が迫ってきました。

「行けます」「あと30秒」「閉鎖30秒前」「なんとかいけたなんとか」

このままのペースでは、36キロ地点の閉鎖時間に間に合うのは難しい状況ですが、それでも前へ進みます。

松浦さん「タイムオーバーになるまでは走り続けます」

最後まで力の限り走り続けましたが、34キロを過ぎたところで無念のリタイアとなりました。
 


松浦さん「今回完走できなかったというのはありましたが、粘ればここまでこられたので不可能という言葉は障害があってもないなと思いましたね。人との接点、出会いって凄いなと思いました。死ぬまで一生、走り続けたいですね」

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