国立大学法人岡山大学
2024(令和6)年 3月 13日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
タバコ煙や排気ガスに含まれる環境化学物質のメチルビニルケトン(MVK)は、高濃度曝露では毒性を発揮することが知られていましたが、低濃度慢性曝露による生理機能への影響はほとんど解析されていませんでした
今回、MVKは細胞内の恒常性維持に重要なタンパク質であるホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)に結合し、インスリンや上皮成長因子(EGF)の作用を抑制することを明らかにしました。
慢性曝露による糖尿病などの疾患発症メカニズムの解明や、その予防法や治療法の開発に繋がることが期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院医歯薬学域の上原孝教授と岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士後期課程の森本睦大学院生は、理化学研究所環境資源科学研究センター生命分子解析ユニットの堂前直ユニットリーダー、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の安孫子ユミ准教授、九州大学大学院薬学研究院の熊谷嘉人教授、東京大学大学院農学生命科学研究科の内田浩二教授らと共同で、環境化学物質の一つであり、タバコ煙や排気ガスに多く含まれるメチルビニルケトン(MVK)が、インスリンや上皮成長因子(EGF)のシグナル伝達に重要なタンパク質であるホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の制御サブユニットのシステイン残基に共有結合することで、受容体との結合を阻害することを明らかにしました。
この作用により、糖取り込み作用などが著しく阻害されることを示しました。さらに、MVKと高い構造類似性を示すエチルビニルケトン(食品添加物)やアクロレイン(ポテトチップスなどに含まれる)なども同じような作用を有することを見出しました。
本研究成果は、2024年1月24日に米国生化学・分子生物学会の学術誌「Journal of Biological Chemistry」に掲載されました。
本研究は、環境化学物質による糖尿病などの疾患発症機構解明に向けたものであり、その予防法や治療法の開発に貢献することが期待されます。
◆森本睦大学院生からひとこと
本研究により、タバコ煙や食品添加物、加工食品、農薬などの私たちが日常的に曝される環境因子の中にも、生理応答を変化させる化学物質が含まれていることが明らかになりました。これらの化学物質は生活環境や食生活を介して複合的に生体内に取り込まれることから、私たちが思っている以上にその危険性は高いのかもしれません。本成果が環境因子による疾患発症機構の全容解明に少しでも繋がればと思います。
◆論文情報
論文名: Methyl vinyl ketone and its analogs covalently modify PI3K and alter physiological functions by inhibiting PI3K signaling
掲載誌: Journal of Biological Chemistry
著者: Atsushi Morimoto, Nobumasa Takasugi, Yuexuan Pan, Sho Kubota, Naoshi Dohmae, Yumi Abiko, Koji Uchida, Yoshito Kumagai, Takashi Uehara
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jbc.2024.105679
URL: https://www.jbc.org/article/S0021-9258(24)00055-3/fulltext
◆研究資金
本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(挑戦的萌芽・22K19380、研究代表:上原 孝)及び喫煙科学研究財団の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
タバコ煙や排気ガスに含まれる化学物質「メチルビニルケトン」が生理機能に悪影響を与える機構を解明!~糖尿病などの疾患発症メカニズムの解明へ光~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press202402306-1.pdf
◆参 考
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)薬効解析学研究室
https://www.okayama-u.ac.jp/user/yakko/index.html
・岡山大学薬学部・大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(薬)教授 上原 孝
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:086-251-7939
FAX:086-251-7939
https://www.okayama-u.ac.jp/user/yakko/index.html
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年3月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002034.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
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2024(令和6)年 3月 13日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
タバコ煙や排気ガスに含まれる環境化学物質のメチルビニルケトン(MVK)は、高濃度曝露では毒性を発揮することが知られていましたが、低濃度慢性曝露による生理機能への影響はほとんど解析されていませんでした
今回、MVKは細胞内の恒常性維持に重要なタンパク質であるホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)に結合し、インスリンや上皮成長因子(EGF)の作用を抑制することを明らかにしました。
慢性曝露による糖尿病などの疾患発症メカニズムの解明や、その予防法や治療法の開発に繋がることが期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院医歯薬学域の上原孝教授と岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士後期課程の森本睦大学院生は、理化学研究所環境資源科学研究センター生命分子解析ユニットの堂前直ユニットリーダー、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の安孫子ユミ准教授、九州大学大学院薬学研究院の熊谷嘉人教授、東京大学大学院農学生命科学研究科の内田浩二教授らと共同で、環境化学物質の一つであり、タバコ煙や排気ガスに多く含まれるメチルビニルケトン(MVK)が、インスリンや上皮成長因子(EGF)のシグナル伝達に重要なタンパク質であるホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の制御サブユニットのシステイン残基に共有結合することで、受容体との結合を阻害することを明らかにしました。
この作用により、糖取り込み作用などが著しく阻害されることを示しました。さらに、MVKと高い構造類似性を示すエチルビニルケトン(食品添加物)やアクロレイン(ポテトチップスなどに含まれる)なども同じような作用を有することを見出しました。
本研究成果は、2024年1月24日に米国生化学・分子生物学会の学術誌「Journal of Biological Chemistry」に掲載されました。
本研究は、環境化学物質による糖尿病などの疾患発症機構解明に向けたものであり、その予防法や治療法の開発に貢献することが期待されます。
◆森本睦大学院生からひとこと
本研究により、タバコ煙や食品添加物、加工食品、農薬などの私たちが日常的に曝される環境因子の中にも、生理応答を変化させる化学物質が含まれていることが明らかになりました。これらの化学物質は生活環境や食生活を介して複合的に生体内に取り込まれることから、私たちが思っている以上にその危険性は高いのかもしれません。本成果が環境因子による疾患発症機構の全容解明に少しでも繋がればと思います。
◆論文情報
論文名: Methyl vinyl ketone and its analogs covalently modify PI3K and alter physiological functions by inhibiting PI3K signaling
掲載誌: Journal of Biological Chemistry
著者: Atsushi Morimoto, Nobumasa Takasugi, Yuexuan Pan, Sho Kubota, Naoshi Dohmae, Yumi Abiko, Koji Uchida, Yoshito Kumagai, Takashi Uehara
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jbc.2024.105679
URL: https://www.jbc.org/article/S0021-9258(24)00055-3/fulltext
◆研究資金
本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(挑戦的萌芽・22K19380、研究代表:上原 孝)及び喫煙科学研究財団の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
タバコ煙や排気ガスに含まれる化学物質「メチルビニルケトン」が生理機能に悪影響を与える機構を解明!~糖尿病などの疾患発症メカニズムの解明へ光~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press202402306-1.pdf
◆参 考
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)薬効解析学研究室
https://www.okayama-u.ac.jp/user/yakko/index.html
・岡山大学薬学部・大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(薬)教授 上原 孝
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:086-251-7939
FAX:086-251-7939
https://www.okayama-u.ac.jp/user/yakko/index.html
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
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<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
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岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
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岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年3月期共創活動パートナー募集中:
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岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
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岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
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岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
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