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「より安全な場所に住んでほしい…」災害リスク高いエリアから“まちなか”への移転を促す~引っ越し費用の一部を市が補助

福岡県北九州市は災害リスクが高い傾斜地に住む市民が「まちなか」に移転することを促そうと、新年度予算案に事業費を計上しています。災害リスクが高く交通の便も悪いエリアから、より安全で便利なエリアへの移転促進を目指しています。

傾斜地に住む高齢者、不便なだけでなく災害リスクも…

 

日高一宇さん「来るとき見たでしょう。あのきつい坂を。あれを上がってくるんです」

傾斜がきつい斜面に住宅が建ち並ぶ、北九州市八幡東区羽衣町。日高一宇さんは、この地区に40年以上住んでいます。この地区では高齢化が進み、空き家も増えてきたためこれからもここに住み続けることに不安を感じています。

 

 

日高一宇さん「車が入れない、階段しかないところにいっぱい家が建っている。高齢化で住む人が住めなくなっている。あと何年もしないうちに免許返納しますと、車がないとかなり不便になる」

 

2018年の西日本豪雨

 

北九州市には、高度成長のころを中心に傾斜地にも多くの家が建てられました。しかし、傾斜地には災害リスクがあります。2018年の西日本豪雨では門司区の傾斜地で土砂崩れが発生し、夫婦2人が亡くなりました。この数年、極端な大雨が降ることが増えていることから専門家は、傾斜地の災害リスクは高まっていると指摘します。

九州工業大学 川尻峻三准教授「毎年の様に特別警報が出るとか、そういう中で、斜面地に住んでいると、これまで以上にリスクが高くなっていることは今のトレンド。そこから移転することは大きなメリット」

引っ越し費用の一部を市が補助、「まちなか」への移転促す

 

災害リスクが高い傾斜地から、「まちなか」に引っ越すように促そうと北九州市は新年度予算案に引っ越し費用の一部を補助する事業費を1650万円計上しています。「市街化調整区域」のうち災害リスクが高いとされるエリアから「居住誘導区域」に移ることが条件で、対象は1000軒弱になる見通しです。「居住誘導区域」は災害リスクが低く、公共交通機関を利用しやすいエリアを市が指定することになっています。

 

 

北九州市 武内和久市長「まちなかへの居住により、地域の活力の維持増進を図ることを目的としており、持続可能な都市を形成する上で重要」

一方、災害リスクが高い傾斜地だからと言って、住み慣れた場所を離れることは簡単には決断できません。

 

 

日高一宇さん「ここに1周700メートルの公園があるんです。住民のウォーキングコースになっている。木があるから夏も暑くないし、冬も風が当たらないし、景色がいい。なかなか離れづらい」

 

 

傾斜地に住む人たちの気持ちに寄り添いながら事業を進めていくことができるのか?全国で2例目、九州では初めてとなるこの取り組みを北九州市は今年の夏から運用することを目指しています。

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