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桜の近未来~なかなか満開にならずダラダラ咲く!?
いち早く異変が起きていたのが、鹿児島県の種子島だ。取材した2007年には、なかなか満開にならず、そのまま散っていた。こうした桜の異変が各地に広がり始めている。伊藤名誉教授は「数十年後には、東北のほうではどんどん開花が早くなる一方、南九州などでは満開にならなかったり、開花しないということが起こりうる」との見方を示す。地域ごとの予測は次の通りだ。
北日本では、休眠打破が十分で暖かくなる分、開花が早くなる
西日本では、休眠打破が不十分で遅れるものの、温暖化で早まる分と相殺されて、平年並みに。
南日本では、休眠打破が不十分で開花が遅れる。
九州大学 伊藤久徳名誉教授
「例えば福岡では、開花がだんだん遅れ、開花と満開の間が長くなる『ダラダラ咲く』状態になる可能性がある」
季節の風物詩が観測できなくなる!?
ソメイヨシノの開花など、生き物が教えてくれる季節の便りは、別の理由で届きにくくなっている。気象台が行う「生物季節観測」は、職員が実際に目にしたものを発表するものだ。それが、都市化の影響で季節の進み具合を知らせる生物が少なくなっている。さらに、観測の自動化が進む中で、各地の測候所が廃止に。種子島の測候所も2007年に廃止され、ソメイヨシノ開花などの貴重な観測の積み重ねが途絶えてしまった。気象の異変を静かに知らせてくれる生物たち。日々の生活に彩りを添える季節の便りがなかなか届かなくなる日が来るかもしれない。
RKB毎日放送 今林隆史(気象予報士)
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