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財津和夫、「別人になって嘘を思いっきり書く」作詞の勧め

TULIP・財津和夫が、時には詞を書くための秘訣を明かすRKBラジオ『財津和夫 虹の向こう側』。今回は、詞を作ることで自分を解放して欲しい、と言う財津の提案をお伝えします。

 

「潜水夫」からのお便りに感謝

TULIPの曲の中で、自分にとっての大切な一曲は「一人の部屋」だ、というリスナーのお便りを紹介。
TULIPのメジャーデビュー曲はご存じ「魔法の黄色い靴」。業界内での評判は良かったものの、レコード売り上げは低迷。そのメルヘンな歌詞から一転し、男女の肉感的な内容でインパクトのある曲を、と「一人の部屋」がデビュー2作目として3か月後に発売されている。
「これも、こけました。なので、何作っていいのかわかんなくなっちゃったんですよ。『何やってもダメだな』って、まだ2曲しか出してないんですけど・・・まあ、両極端な曲ですよね。男女の関係がないようなメルヘンな曲と、男女の色恋沙汰の曲。両方ともダメだと、他に歌う世界って何かあるのかな、と」
関係者から「そろそろ君たち福岡に帰る頃かな」という話になってきて、もう後がない、まるで絶壁に至るような思いの中、およそ半年後に起死回生のヒット曲「心の旅」が発売されている。だから、「一人の部屋」は明るい曲調ではあるがどん底の時の曲であり、財津自身がこの曲を聞くと、心が奈落の底に落ちていくような気持ちになる、のだと。
そんなエピソードのある曲だが、「(大切な一曲だという方も)いらっしゃるって事は嬉しいな。なんかね、海の底に沈んでいた曲かと思ったんですけど、そういう潜水夫のような方がいて下さって、ありがとうございます」

 

詞は別人になって、アウトサイダーになって書く

財津の作詞講座の受講を通じて、生活の中で「詞」のきっかけを探すようになった、というリスナーのお便りを紹介。お世辞であっても、作詞講座が誰かの何かの役に立っているのなら嬉しい、幸せ感を覚える、と感謝の言葉を繰り返す財津。
プロの作詞家ではない私たちが詞を書く事の良さって何ですか、と下田アナが質問すると、「いつも作詞講座の受講生の方には生意気に言わせていただいているんですが」と前置きした財津が一気に喋る。
「社会生活を長くやってきて、常識も良識も持っていらっしゃるじゃないですか。私たちは、それを善しと教育され、子どもの頃からルールを守ってちゃんとした社会人になりましょう、と縛られながら生きているんです」「でも、人って、社会人であると同時に『個人の世界』があるじゃないですか。それを発揮し、開放しないとストレスがフルになる」
「ストレス解放にゴルフをやろうとすると、ゴルフクラブを揃えなきゃいけない、レッスンに行かなきゃならない、ゴルフ場にプレー代払わなきゃいけない・・・お金かかるんですよ。でも、紙とペンだけで、詞を書くという事でストレスから解放されるならいいじゃないですか! ね、思った事を本当に書きましょう」
「でも、(受講生の)皆さんが書いてくださる作品はどうしてもキチっと纏められたようで、アウトサイダーになっていない。放牧されているように見せかけても、どうしても柵があるような詞が多いんです」
「思い切って、とにかくもう無茶苦茶やりましょうよ、別人になってください。役者さんが『役者が楽しい』って言うのは、別人になれるからでしょ。それで自分を俯瞰して、また色々考える事ができるわけですよ」
「だからそういう(考察する)時間を作るためにも、『思いっきり別人になって、嘘でもなんでもいいから詞を書いてみて下さい』と言っているのに、やっぱり日記のように本当の事を書いてくる人が多いんですよね」
「だから、ラジオのマイクを通して熱く言います。思いっきり、別人になって嘘を書いてください」
熱意がこもった財津先生の作詞の勧め、ぜひ実際の放送でもその熱い語りをお聞きください。
 

次回4月28日の放送は、通常通り18時15分(午後6時15分)からの予定です。
TULIPの「We Can Fly」内のワンフレーズ「幸せ契約」に関した話題の続編をお送りします。
 

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