小川未明 「生きた人形」 6月15日、22日放送 朗読・田中みずき
小川未明作 「生きた人形」 朗読 田中みずき
呉服屋の店先に飾られた青い着物を着た美しい人形を見つめる、一人の少女がいました。
「わたしもこの人形のようにきれいな着物を着て、多くの人に賞賛されながら見つめられるような人生を送れたら、さぞかし幸せだろうに。」と、少女はその人形を羨むのでした。
少女は両親に先立たれ、たった一人の兄も行方不明・・・。兄を探しに故郷をあとにしたものの旅費も底をついてしまい、途方に暮れる中、少女は自分の置かれた境遇とあまりに違う美しい人形と比較して自分の不憫さを嘆いていたのです。
しかしこの娘は大変な器量よし。呉服屋の主人は、人形よりも美しい少女に着物も与え、給料も払うので、人形に成り代わり「生きた人形」として店頭に座ってくれないかと提案。少女は、憧れの人形の姿になれるうえに、兄を探すための旅費を作ることもできるとあって、翌日からその仕事を引き受けるのでした。
主人の思惑通り、「生きた人形」は評判を呼び、多くの人の関心を集めました。
そんなある日、仕事を終えて家路につく少女に、一人のおばあさんが優しく話しかけてきました。すっかり気を許した少女は、自分の不幸な身の上を打ち明けます。
少女はおばあさんに、どうしたら兄を見つけることができるのか、相談を持ち掛けるのでした。
実はこのおばあさんは、町では人さらいとしておそれられている存在。
おばあさんを信頼してしまった少女はあやうく誘拐されるかもしれない危機に直面。
兄との再会は果たせるのか?
そして、誘拐されそうな娘の運命は??
呉服屋の店先では娘が人形の代わりとなり、最後は人形が娘の身代わりとなったのか・・・?
「人形と少女の出会いは偶然ではなかったのかもしれない。この人形と娘は不思議な縁のようなもので繋がれている。」と感じずにはいられない出来事が終盤に起こります。読者の想像を覆すラストの展開にご期待ください。
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう