先日、休暇を取得し関西に帰省した。沖縄に住む兄の家族も同時に戻っており、いつもは両親2人暮らしの実家が8人とにぎわった。毎回の帰省で一番の楽しみがおいと遊ぶこと。5歳になったおいは言葉数が増え、本当によくしゃべるようになっていた。一緒にテレビを見る中で、よく「これはなに? どういう意味? なんで?」と聞かれる。皆でお酒を飲んでいると「なんで20歳以下はだめなの?」と質問され、私は法律で決まっている旨を説明する。神社で手水舎を指さし「これはなに?」と聞かれれば、5歳でも分かるように調べて説明する。一見普通においと戯れているように見えるが、アナウンサーとして一番大事なことを問われている気がした。
5歳児でも分かるように丁寧に説明する。これは、自分が常識だと思って話していることも、放送を聞いている人の中には知らない人がいるかもしれないと想定し、そうした視聴者や聴取者のことも考えながら放送に臨む。新人研修でよく言われたことに、どこかつながっている気がした。
しかし、そんなことに浸っている暇はない。再びおいからの「質問攻撃」再開である。今度はテレビで放送中の恋愛映画の予告編を指さし、こう言った。「恋ってなに? 愛ってなに?」。24歳の私も答えを知らない。
12月7日(土)毎日新聞掲載
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