「フェーズフリー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。日常時と非常時を区別しない防災への考え方で、2015年ごろから広まりだした。以前、防災用品を買ったはいいが、新品のまま奥に収納して、いざという時に使い方がよく分からなかった経験がある。買ったことに満足しているだけでは役に立たない。フェーズフリーの商品やサービスは、いつもの生活で便利に活用し、有事の際にも役立つものなので、そんな心配がない。
例えば、普段はクッションとして自宅や車の中で使い、非常時には「寝袋」「ブランケット」「着替えスペース」としてマルチに活用できるものや、いざという時に「バケツ」として水を運搬できる超はっ水の生地を使ったバッグなどもある。
また県内でも、フェーズフリーに取り組む施設がある。ららぽーと福岡では、施設内の2基のベンチが、有事の際に「かまど」になる。45リットルの大鍋を2個設置でき、温かい食べ物を約300人分提供できる。
能登半島地震から1年が経過した。誰もが新年の平穏と幸せを願う元日を地震が襲った。甚大な被害を受け、今も故郷から離れ、復旧・復興への決意を胸に日々を過ごす被災者に思いをはせながら、いつどこで起こるか分からない地震への備えの大切さを再確認したいと思った。
1月18日(土)毎日新聞掲載
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