毎年多くの人が感染する「インフルエンザ」。インフルエンザが流行すると会社を休む人も増え、大きな経済損失になるともいわれています。そこで今回はインフルエンザの経済損失額、また予防接種や検査にかかる費用についてまとめてみました。インフルエンザの脅威やお金事情を知り、未然に予防対策を進めていきましょう。
インフルエンザによる経済損失
インフルエンザは例年1000万人以上が感染するといわれているウイルス性疾患です。インフルエンザが流行すると仕事を休む人が増えるため生産性は低下し、インフルエンザの治療等に使われる国や自治体の公的負担額も増加するため、大きな経済損失となります。
関西大学の宮本勝浩名誉教授が2019年に発表した「インフルエンザによるマイナスの経済効果」によれば、インフルエンザの経済損失額は6628億263万円と推定されています。これはインフルエンザによる生産性低下や治療費、葬儀費用など、さまざまな観点からマイナスの経済効果を試算した上での数値となります。
またやや古いデータとなりますが、厚生労働省が2008年にまとめた「新型インフルエンザ発生時の社会経済状況の想定」によれば、インフルエンザによるGDP損失は約20兆円(4.1%相当、第一生命経済研究所による推定)と推定されているデータもあります。
一週間程度休むことになり給料ダウンにも
一般的な季節性インフルエンザの場合、法律上は出勤停止の具体的な規定はありません。しかし感染を広げないためにも、一般的に5~7日程度(発症後5日が経過、さらに解熱後2日が経過するまで)会社を休むケースが多いです。会社によっては休業手当が満額支払われないこともあるため、給料ダウンになりかねません。
インフルエンザ予防接種の費用相場とメリット
インフルエンザを患わないためには、事前の「予防接種」も選択肢の一つとなります。ここでは予防接種の費用相場や予防接種をすることのメリットについて解説します。
予防接種は自由治療
インフルエンザの予防接種(インフルエンザワクチンの接種)は、保険診療外の自由治療となります。自由治療の場合は病院側が治療にかかる費用を自由に決められるため、割高な病院もあれば割安な病院もあります。
予防接種の平均的な費用相場
インフルエンザの予防接種の費用は自由治療のため病院毎にまちまちですが、おおよその平均費用は3500円前後が目安となります。割安な病院であっても最低3000円以上の費用がかかるケースが多いようです。
なお13歳未満の子供の場合、摂取回数が2回となるため(大人の場合は原則1回)、回数が多い分大人より費用がかさみます。
子供や高齢者には助成制度もある
小さな子供・65歳以上の高齢者・特定の疾患がある人等がインフルエンザの予防接種を受ける場合、自治体・市区町村が費用を助成し、割安な料金で摂取を受けられることがあります。条件や料金などは自治体・市区町村によって異なり、無料となる自治体もあります。
例として福岡市では、「65歳以上」もしくは「60歳以上65歳未満で心臓、腎臓または呼吸器の機能や、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫機能に障がいがある人」であれば通常より割安な1500円でインフルエンザの予防接種を受けることができます。
予防接種のメリットは?
インフルエンザの予防接種を受けるメリットとして、以下が挙げられます。
・自身の健康のため(インフルエンザを患うと死亡するケースもある)
・周囲への感染拡大を防ぐため
・仕事に支障をきたさないため(1週間以上仕事を休まなければならないこともある)
・感染後の検査や薬にかかる出費を防ぐため
など
インフルエンザに感染すると38度以上の高熱が出ることが多く、合併症などを発症し死亡するケースもありますので、自身の身体を守るためにも予防接種は大切な選択肢の一つです。また詳細は後述しますが、インフルエンザを患うと検査や薬などで予防接種の費用以上にお金がかかることがあるため、予防接種をして未然に防いだ方がトータルの費用としても割安にできるのです。
インフルエンザの検査と薬の費用相場
ここでは、インフルエンザに感染した際の検査や薬の費用について解説します。感染後にどの程度の費用がかかるのかも押さえておきましょう。
検査や薬は保険適用
インフルエンザの検査や薬にかかる費用には、一般的に健康保険が適用されます。現役世代は原則として3割負担となり、75歳以上の高齢者の場合は1割負担(ただし現役並み所得者は3割負担)となります。
検査代は2000円前後
インフルエンザの検査にかかる費用は、保険適用3割負担で2000円前後が目安です。初診であるかや、病院毎の検査方法によって費用が若干上下することもあります。また診断書を発行する場合には、別途2000円~3000円程度の発行費用が発生することがあります。
薬代は1500円~2000円程度
インフルエンザの薬にかかる費用は、保険適用3割負担で1500円~2000円程度が目安です。選ぶ薬のタイプ(ジェネリックもあり)によって費用は若干上下します。
検査は発症後12時間~48時間の間に
インフルエンザ発症後あまりに早い段階で検査をすると正しく陽性の判断ができないことがあるため、検査は発症後12時間以降が目安とされています。またインフルエンザの治療薬の投与は発症後48時間以内に開始するのが良いとされているため、48時間以内にインフルエンザであるかを確認することも重要なポイントとなります。
以上、インフルエンザの経済損失や予防接種などにかかる費用について解説しました。インフルエンザに感染すると本人はもちろんのこと、周囲の同僚、会社、しいては国全体としてもリスクになります。インフルエンザは感染力が強いため、予防接種をすることも選択肢の一つとして考えてみましょう。
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