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自分だけの空間 ~書斎のある間取りの家~

テレワークや家族内でもプライベートを重視する考えなどの広がりによって、書斎のニーズが高まっています。家の新築に伴って、書斎をつくりたいと考えている方は多いのではないでしょうか。とはいえ、書斎というスペースが本当に必要なのか、必要だとすればどのような書斎をつくるとよいのかをしっかり検討しておきたいですね。

今回は、書斎の必要性やメリット・デメリット、家の中にできるデッドスペースを有効活用したアイデアをご紹介します。ライフスタイルに合った最適な選択を見つけるヒントにしてみてください。

書斎をつくる?つくらない?検討のポイント

どこか特別感のある書斎、憧れますね。せっかく書斎をつくるのであれば、間取りを考える段階から「必要性」と「使い勝手」に注目して検討するのがおすすめです。

書斎の必要性

間取りに組み込む際にまず考えておきたいのは「自分や家族のライフスタイルに合うか」という点です。たとえば、読書をするとしても、一人で静かに本の世界観に没頭したいのか、家族と同じ空間にいて気配を感じながら読みたいのかなど、読書スタイルによっては書斎でなくてもいいケースがあります。

一方で、使用頻度が低ければ書斎はいらないという意見もありますが、休日の数時間だけでも書斎で趣味に没頭する時間が日々の活力になるならむしろ書斎は必要と言えるでしょう。空間としての必要性だけでなく、価値観や家での過ごし方においての必要性もあわせて書斎の有無を検討することが重要です。

書斎の使い勝手

一般的に書斎は読書や仕事をするための空間という印象が強いですが、用途は家庭によって異なります。どのように書斎を使いたいかにあわせて配置や広さを決めることが重要です。

たとえば没頭したい作業を行う場所として使うなら、使う人だけが上がれる小屋裏に設けるともっとも独立性が高くなります。子どもやお年寄りなど他の家族の動きも把握しながら自分専用のスペースとして使いたいなら、リビングやダイニングの一部に設けると安心でしょう。
適度な開放感と独立性を共有したいなら、2階のホール部分を使ったりスキップフロアを設けたりするアイデアも有効です。あえて狭いスペースにして集中力を高めるという方法などもありますので、書斎の用途に沿って使い勝手の良さを考慮したプランにしましょう。

書斎のタイプ

使用目的や過ごし方の好みによって、書斎のタイプは大きく3つに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

個室タイプ

他の空間から完全に独立した部屋として設けるのが個室タイプの書斎です。周囲の空間からの音や気配をシャットダウンできるため集中しやすく、プライバシーも確保しやすいため、リモートワークや集中して作業をしたい場合に向いています。
専用スペースを確保する分他のスペースを狭くする必要があるため、間取り全体のバランスを考慮しましょう。

半個室タイプ

空間の一部を簡易的に仕切った状態の書斎を半個室タイプと言います。リビングや寝室などの一部をパーテーションや収納家具などで区切り、書斎として使う方法です。
独立した作業スペースを確保しつつ、開放感も得られるため圧迫感が少ないという特徴があります。家族とのコミュニケーションが取りやすい反面、周囲の音によって集中力を維持しにくいため、用途によっては使いにくい場合がある点に注意しましょう。

オープンタイプ

リビングやダイニングなどの一部分を書斎として使うのがオープンタイプの書斎です。「ワークスペース」などと呼ばれることもあります。基本的に仕切りは立てず、広い空間の中で過ごすため、孤独感はほとんどありません。
家族との共同作業がしやすいタイプですが、周囲からの生活音がダイレクトに聞こえるためテレワークには不向きです。没頭できる静かな作業環境を重視する場合も避けた方がいいでしょう。

書斎をつくるメリットとデメリット

書斎を設ける場合、メリットとデメリットの双方を総合的に見て検討することが大切です。書斎をつくる主なメリットとデメリットをご紹介します。

メリット1.作業に集中できる

書斎の最大のメリットは、作業に集中しやすい環境を確保できることです。テレワークをしている方や、オンラインミーティングをすることが多い方にとっては、在宅のまま生活音や家族の動きから解放された静かな空間でしっかり集中できるでしょう。

メリット2.資料の保管場所になる

書斎は、仕事や勉強に使う資料・書籍などを整理し、分類しながら保管できる場所として活用できます。デスクのレイアウトとあわせてキャビネットや棚の配置も考えておくと、必要な時にすぐ取り出せて効率的な上に、他の収納スペースを圧迫しないため家全体の収納効率も上がるでしょう。

メリット3.プライベートスペースを確保できる

個室タイプや半個室タイプの書斎では、作業に没頭するだけでなく自分だけの時間をゆっくり過ごすことも可能です。一人で過ごす時間を確保してリフレッシュしたり、創造的な活動に集中できたりすることでモチベーションが上がるという方には必須の空間とも言えます。

デメリット1.他の居室や収納スペースが狭くなる

家全体の床面積が決まっている場合、書斎を設けることで他の部屋や収納スペースを削る作業が必要になります。特に狭小地に家を建てる場合は他の生活空間が圧迫されやすいので、半個室タイプやオープンタイプで間取りをレイアウトすることも検討してみましょう。

デメリット2.家族とのコミュニケーションが取りにくい

個室タイプの書斎は、独立性が高い分家族とのコミュニケーションが取りにくくなりがちです。仕事や趣味に集中するあまり、家族との時間が少なくなる可能性もあるため、家族の一体感が希薄になるのを避けたい場合は、書斎のタイプや配置を工夫しましょう。

仕様によってはコストがかかる

個室タイプの書斎を設ける場合は、照明やエアコンなどの設備や家具、ドアや窓を追加しなければならないため、建築コストや入居後のランニングコストがかかります。必要性や使い勝手と各種コストのバランスを考慮しながら、予算に見合ったプランを選ぶことが重要です。

まとめ

書斎づくりは、ライフスタイルに合わせた用途や使い勝手を考慮した上で、家全体のレイアウトや建築コストとのバランスを見ながら進めることが重要です。
限られたスペースでも快適な書斎をつくることは可能ですので、間取りを決める段階でじっくり検討してみてくださいね。

WRITER
河野 由美子 二級建築士・インテリアコーディネーター・防災備蓄収納1級プランナー

住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手ハウスメーカーでの勤務を経て独立。 日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わっています。 建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、建築関連資格対策テキスト監修、工務店施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

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この記事を書いたひと

rkb_ouchi