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令和の彦馬~デジタル時代に挑む150年前の「湿板写真」

有名な坂本龍馬の写真。「日本写真術の開祖」と言われる上野彦馬が、江戸時代、長崎に開いた写真館で撮ったもので、「湿板写真」という。その特徴は、画像をガラス板に写すこと。明るく写った部分ほど白く、暗く写った部分ほど透明になり、背景に黒い布などをあてると、自然な明暗の像として見ることができる。撮影した時の空気までもガラスに閉じ込めたような独特の風合いに惚れ込み、150年前の湿板写真技術を復活させたカメラマンが長崎市にいる。「湿板写真柴原撮影局」の柴原啓一朗さん(50)と柴原龍一さん(42)だ。従兄弟どうしの2人は、2020年、コロナ禍で共に広告写真の仕事が減ったのを機に100年前のカメラを購入し、湿板写真の技術をまとめた本を頼りに撮影を始めた。しかし、なかなかうまく写すことはできず、ガラス板を無駄にし続けること2年―。撮影には、目には見えない「あるもの」が必要だということがわかったのだ!現代のデジタル写真に比べると、下準備から撮影、現像、後処理と、1枚撮影するのに膨大な手間と時間がかかる湿板写真。2人の1枚にかける思いと、令和ならではの新たな湿板写真を生み出そうと挑戦する姿を追った。

 (NBC長崎放送/ 早田 紀子)

取材後記

屋号:湿板写真柴原撮影局
住所:〒850-0811 長崎県長崎市矢の平2丁目7-22
電話:柴原啓一朗 090-2718-3612   柴原龍一 080-5204-1050
ホームページ:https://shippan-shibahara.com/ 
インスタグラム:https://www.instagram.com/shippan_shibahara/?hl=jahttps://www.instagram.com/shippan_shibahara/?hl=ja

 

 

主人公のお2人は、NBCアナウンサーのプロフィール写真を撮って下さっているカメラマンで、私も入社以来、ずっとお世話になっています。

ある時、そんな柴原さんがインスタグラムに投稿していた不思議な写真に、一目で釘付けになりました。まるで、ガラスの中に人物が入っているかのよう!
聞けば、「日本写真術の開祖」・幕末の上野彦馬が撮っていた技法で撮影したと言うではありませんか!それが、令和の「湿板写真」との出会いでした。

取材中、私たちスタッフも撮っていただきましたが、お2人の情熱がひしひしと伝わってきて、「これだけ手間と時間がかかっているのだから、こちらもそれに応えなければ!」という気持ちになるんです。
まばたきすることなく真剣にレンズを見つめた数秒間そのものは、写真としてだけでなく、記憶にもしっかりと焼き付きます。
完成した写真を見ると、「あの時の数秒間だ…」と何とも言えない感動がありました。

ファッションのテイストも、お話しのペースも正反対のお2人ですが、さすが従兄弟どうし、チームワークも抜群です!
“令和の彦馬”として、これから2人でどんなチャレンジをして、どんな湿板写真が撮れるのか、とても楽しみにしています。 

(NBC長崎放送 / 早田紀子)

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