財津和夫、新しいメロディーは降りて来るのではなく、散歩している最中に「隣から・過去から」やって来る

他の若手アーティストグループが歌う「心の旅」をテレビで聴いて、だれがどんなアレンジで歌っても美しく響くメロディーに改めて感銘したというリスナーから、財津作品のメロディーは一体どこから生まれるのでしょうか、との質問メッセージを頂きました。
財津「舌がもつれるぐらい褒めちぎられて困っちゃった。どうですかね…でも、ほとんどは僕が自分でクリエイトしてるわけじゃないんですよ。子供の頃から、どこかで聞いたものが記憶として潜在して、作ろうとしたときに出てくるんでしょうね。だから『自分で作った、良いの出た（出来た）』と思ったけど、しばらくして聞くと『これ、あれの影響だな』とか、『メロディーが同じじゃん』とかそういうことがしばしばです」
本音で話そう、がこの番組のコンセプトの一つではありますが、それにしてもなかなかのぶっちゃけトークがこの後も続きます。

財津「以前も言ったかもしれないけど、ベートーベンだってモーツアルトのいいとこいっぱい盗んでますからね。いいものはいいんです。それを自分なりにアレンジしながら自分の調味料をかけて、改めて作るっていうのもいいことだと思いますし…長くなりましたけど、メロディーを作ってるっていう感じはないですね。何か貰ってるとか盗んでるとか、そういう感じかな、はい」
字面通りだとやや穏やかではない言葉も出てきましたが、創作はmodifyやcustomizeを伴う継承も一つの重要な要素ですので、その側面を敢えて財津流に翻訳した発言、と捉えたいと思います。

下田「その（メロディーを考える）時は例えば散歩しながら考えるのか、あるいはキーボードの前で作っているのか、そして書き留めるのか。どんなふうにしてらっしゃるんですか」
財津「ケースバイケースですけど、『これはもうあんまり頑張らなくてもいいなこの曲は』、そういう時はギリギリまで仕事しない。で、キーボードの前とかギター持って『こんな感じでいいだろう』って、大体いわゆるヒットマニュアルみたいなものを集めながらやるんです。ただ、新しいものを作ろうという時は、散歩したりして、ボーっとしてる方が、『あ、これ今までにないもんだものだな』とか思ったりして、ワクワク作ることができます」
下田「楽しいですね。降りて来る瞬間があるんですね」
財津「そう言うとかっこいいんですけども、（実際には）降りて来てないんですよ、隣から来てる」
下田「集まって来ている？」
財津「昔っていうか、過去からやって来てます、はい」

今日の一曲は、ビートルズ『イン・マイ・ライフ』。リスナーのリクエストメッセージには、財津が他のアーティストの曲をどんなふうに聴いているのかの質問も含まれていました。
財津「聴きたいなと思う時、新幹線の中だったらイヤホンでしょうし、自分の部屋だったら大きな音で聴きますし。いやー、もう何でも聴いてますよ、本当に聴いてます。しばらく聴かないと、凄い新鮮に聴けるでしょ。あの瞬間がいいです。ビートルズの初期の曲とか、『これ久しぶりに聞いてみよう』って思って聞いた瞬間、目の前に10代の僕がまた出てくるんですよ。そいつは僕に『年取ったなって』言うんですけど…本当に何十年も楽しめるから、歌っていいですよね」
『イン・マイ・ライフ』は、ビートルズの中期作品に位置付けられるアルバム『ラバー・ソウル』に収録されています。
 

以前（今年４月２７日）の放送で、1983年に行われたバリ島のソロコンサートツアーの話題になりました。その際、財津がその時の写真を見たいと呟いたせいで(?)、リスナーからまたまた当時の現場写真を送って頂きました。
財津「若いねー、私。若いし太ってるね、これ。あ、懐かしーい」
下田「集合写真もあります」
財津「はい、バリ島行ったんですよ。本当にバリ島に行きたくて行きたくてしょうがなかくて、でも忙しかったから、どうやっていけるかなと思ったんです。『そうだ、ファンクラブツアーにすれば、誰も文句言わないだろう』と思って。そしたら、トントン拍子に話が決まってもうたくさんの人が来てくれて。いやー、楽しかったなバリ島。皆さん、本当に集合写真見たら若い」
下田「みんな楽しそう」
財津「このクタビーチの夕陽ってね、ホンっとに綺麗だったんです。ヤシ、パームツリーみたいなやつ。その上に星空なんです。また行きたくなっちゃったな」

次回９月７日の放送は、通常の放送時間に戻り、１８時１５分（午後６時１５分）からの予定です。
ＣＭソングに関するお話をします。