
財津和夫、好きな曲を好きな気分で好きなように作らせてもらったCMソングが『Wake Up』
TULIP・財津和夫が、時には自分が作り、歌ったCMソングの内幕を語るRKBラジオ『財津和夫 虹の向こう側』。9月7日の放送では、CMのタイアップ曲として手掛けた財津2作目のソロシングル『Wake Up』についてお話します。
天使は客席にいる
ザ・ビーチ・ボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンの訃報に触れたリスナーからのお便りが届きました。
財津「ポール・マッカートニーが、このブライアン・ウィルソンのこと大好きで…ビーチ・ボーイズって言えば皆さんご存知でしょうが、ブライアン・ウィルソンという個人名ではなかなか皆さん知らないかもしれないんですけど、本当にいい曲をいっぱい作った人で、ビーチ・ボーイズのヒット曲はほとんど彼が作ってるんです。彼が作った『God Only Knows』という曲があるんですけど、これはポールが特に好きで、ポールとブライアンの2人がこの曲で一緒にコラボしたこともあるんです。ブライアンが亡くなった時はポールもコメントしてましたけど、悲しそうでしたね。まあでも、音楽やってる同士が、アメリカとイギリスなのに、音楽を通して仲良くなるっていうのはやっぱり良いなと思いますよね」
ブライアン・ウィルソンの死去については先々週の放送でもお話ししましたが、財津が『God Only Knows』をソロコンサートで歌っていることもあり、想いは尽きないようです。
別のリスナーからのお便りでは、TULIPのコーラスワークなどにビーチ・ボーイズの影響もあったんでしょうか、という質問を頂きました。
財津「(TULIPは)もうほぼビートルズからの影響ですけど、時々ビーチ・ボーイズの感じでやりましたね。でもビーチ・ボーイズって、アメリカンなんで、全く雰囲気が違うんです。これちょっと特別な感じの曲だなって言う時だ、TULIPとしてもちょっとお遊びな感じ、道草的な曲の時にやりました」
さらに別のお便りでは、財津のソロコンサートを通してビーチ・ボーイズを知りました。財津さんは音楽と聴き手を繋いでくれる天使のような存在ですね、と頂きました。
財津「私が天使ですか? いやいや、客席にいてくださる皆さんが天使ですよ。私が、『あーもう疲れたな』と思っていても、『いや、明日コンサートだから、歌うってこと楽しいから、よし今日もたくさん寝よう、明日頑張ろう』と思わせてくれる事によって健康になっていくんじゃないですか。そういう意味では本当に健康を運んでくれる天使ですよ」
コンサート会場の客席は、いつも天使で満員です。
『Wake Up』はCMのタイアップ曲として作成
日本の時計のトップブランドと同じ名前の「せいこ」さんからは、自分の名前と同じセイコーのCMソングに使われた『Wake Up』と、結婚を間近に控えた実の娘についてお便りを頂きました。
財津「お嬢さんが結婚するんですね。いやいや、結婚って本当に人生において凄いことですよね。他人と一緒になるんですよ。今まで血を分けた人間家族と一緒に一つ屋根の下に住んでるわけじゃないですか。それが突然なのかどうかわかりませんが…僕に言わせれば突然なんですけど…一緒にね、朝から夜まで生活をする。考えられませんよ、だからいろんな問題が起こるんですよね」
下田「ですよね」
今回も、辛口の直球コメントと相槌から始まりました。実体験を踏まえての意味深長な発言、という事でしょうか。ともあれ、お祝いの言葉を・・・
財津「本当におめでとうございます」
下田「そして、その結婚のお祝いが(財津のソロ作品)『Wake Up』ですからね』
財津「ありがとうございます。懐かしい話です、1980年だったんだね、これ。45年前だよ」
少し解説が長くなりますが、『Wake Up』が財津のソロレコードとして発売されたのは、1979年の年末。そして、1979年から1980年にかけての年越し番組として、当時民放テレビ全局で同時放送されていた『ゆく年くる年』を一社提供していたセイコーのCMソングとして、年明けと同時に全国一斉に放送されました。
下田「すごいですね」
財津「すごいな」
下田「年が明けたその瞬間に流れる一曲!」
財津「それはインパクトあったでしょうね」
下田「ありますよ」
財津「おかげで良い曲悪い曲は別にして、そのインパクトでちょっとヒットしてくれましたから。本当ラッキーですよ」
下田「日本国中、その年を開けたおめでたい時に、流れるって…」
財津「いやあ、本当にラッキーですね。あの頃はテレビを年末から除夜の鐘が終わるまで見てましたから」
下田「そうですよね」
財津「テレビをそろそろ消そうかと思った瞬間に、パッて始まるわけですから、ラッキーラッキー」
下田「CMソングに採用された曲も多数おありだと思います。CM用に作ってくださいと言われたこともありますか」
財津「実はこの『Wake Up』も、CMはじまりだったんですよ」
下田「そうなんですか」
財津「ウェークアップっていう言葉を使って曲を作ってくれ、ということを言われて、あんな感じになったんですよね。この歌(の内容)は、娘が嫁ぐ朝の事なんです。それとウェークアップが結びつきそうには無いんですけど、〔ウェークアップ = 愛に目覚める・目を覚まされる〕、そんな感じで作ってみました」
下田「へえー。『ちょっとここ違うんですよね』とか、『ここをこうして欲しいんですよね』ってイメージのギャップというか、差があったりはしませんでした?」
財津「あるかもしれませんね、でも言いにくいんじゃないですか、先方(依頼元)も。もう、そういう立場の時に作り始めましたから。駆け出しの時にコマーシャルソングを作ったら、『かき直してこい』とかって言われたかもしれませんけど、もう有無も言わせず『はい、できました』、で終わりですから」
下田「それはもう、完成度が高かったと思うんです」
財津「好きな曲を好きな気分で好きなように作らせてもらってね、本当にありがたいことです」
今日9月7日はCMソングの日。1951年(昭和26年)のこの日、日本で初めてラジオCMにCMソングが使われた事に由来して制定された記念日です。
今日の一曲『Wake Up』は、先ほどの話題のように1979年(昭和54年)12月20日に発売された財津和夫通算2枚目のシングルで、『ゆく年くる年』をはじめとしたセイコーのCMソングとして使用され、45万枚以上のヒット作となりました。財津が31歳の時の作品です。
次回9月14日の放送は、通常通り18時15分(午後6時15分)からの予定です。
「人生観」についてお話をします。
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