きょう開幕する「世界陸上」。2年に一度のトップアスリートの祭典は、大学まで陸上競技に取り組んでいた私にとって、毎回テレビの前にくぎ付けになるほど楽しみだった。
実業団選手として競技を継続するほどの実力はなかった。そこでアスリートと競技の魅力を届けられる放送の仕事を志した。「いつの日か、もしかなうならば世界最高峰の戦いを実況してみたい」。ぼんやりと描いていた夢。その夢が今、現実になろうとしてる。今回、実況メンバーの一人として放送に参加することになったからだ。
夢が実現した喜びは一瞬で、大会が近づくにつれ緊張や不安の波が押し寄せてきた。担当するのは跳躍競技や投てき競技のフィールド種目。自身が10年間取り組んだ長距離競技等のトラック種目とは全く違う。「風を読む」とはどういうことか、一投・一本ごとにどう微調整を行うのか。実況の準備は新発見の連続で「陸上競技」という「漢字4文字」が、いかに奥深いものかを思い知らされた。
陸上競技は、より速く、高く、遠く。数字で記録が残るからこそ、選手は過去の自分と戦い、限界の壁に当たり、乗り越え、世界の舞台に立っている。選手たちへの最大の尊敬を言葉に込め、1秒、1秒をかみしめていこうと思う。
9月13日(土)毎日新聞掲載
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