福岡県みやま市にあるコヨウは、環境を考えた商品を開発製造している会社。元は普通のコンクリートブロックを作っていたが、環境問題を考え、現会長の古賀雅之さんがコンクリート素材で何かできないかと模索を始めたのがきっかけだ。
最初に開発したのは「エコバイオ・ブロック」。有害な有機物を吸着・分解する効果がある納豆菌を多孔質のコンクリートブロック内部に生きたまま封入した商品で、環境負荷も非常に低い、持続可能な浄化方法だ。このエコバイオ・ブロックはインドやマレーシアなどの河川浄化にも使用され、現在では主にペットの水槽用として海外へ輸出もされている。
古賀さんが次に取り組んだのは「海の浄化」。幼いころから慣れ親しんだ有明海の異変に心を痛め、干潟の浄化を目指して新しい浄化剤の開発に乗り出した。そこで自然の浄化メカニズムを手本に開発されたのが、フルボ酸鉄シリカ水質浄化剤「龍宮の遣い」だ。これは干潟のヘドロを酸化分解し、その過程で溶けだした成分が貝類などがエサとする珪藻を生み出す。
自然の浄化システムを手本に、豊かな海を取り戻したいと願う挑戦を紹介する。
コヨウ株式会社
〒福岡県みやま市瀬高町坂田169番地
TEL 0944-63-3133
FAX 0944-63-6211
URL http://koyoh.jp
取締役会長 古賀雅之さん
取材後記
長らく有明海を取材しています。有明海異変と呼ばれる環境悪化、漁業不振については様々な要因が重なりあったものだと考えられます。一つの出来事が原因ではない。まあ影響に多寡はあるでしょうが……個人の意見はここでは差し控えます。
取材を通じて思うことは、有明海を愛し、その現状を憂う人は本当に多いということ。そしてそれぞれのやり方で現状を変えようと奮闘しているということです。
古賀さんもその一人。宝の海と呼ばれた良き時代の有明海が忘れられず、なんとか取り戻したいと模索しています。古賀さんは言います。「いくつもある条件のひとつを馬鹿正直にやって準備しておけば、ほかのいろんな問題が解決したときには復活のスピードが上がるであろうという思いでやっています」
今回の取材で、久々に小さなアサリの稚貝をたくさん目にしました。本当に久々。
これまで「貝採れない」「魚カニ獲れない」「ノリ不漁」そんな取材ばかりを有明海でしてきた私には驚きで感動でした。久々に目にした希望。
この小さな希望が大きく育つために、何が必要なのでしょうか。その答えは有明海を憂う人それぞれが胸に秘めていますが、それも一つではありません。
有明海の問題は実に複雑なのです。
(RKB毎日放送/里山千恵美)
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