「次はアラベスクのポーズ」。 鹿児島市のバレエスタジオに男性の声が響く。バレエ演出家の藤田彰彦さん(90)だ。神奈川県で生まれ、父親は日本人初のバレエダンサー、弟は歌手(尾崎紀世彦)という芸能一家で育った藤田さん。高校卒業後、バレエ団に所属。ダンサーとして活躍してきた。
30歳でダンサーを引退したあとは、名古屋を拠点として日本各地のバレエスタジオへ赴き、舞台演出を行ったり、コンクールを開催するなど、バレエの普及のために精力的に活動してきた。90歳となった今も、週3回スタジオで指導を行いながら、発表会の演舞の演出・衣装・舞台装置・音楽まで担当している。
家にいるときも、常にバレエのことを考えているという藤田さん。その原動力は「バレエが好き」という純粋な思い。体力は衰え、病気も患い「バレエは先生が手本を見せないと指導できない。それがうまくできないのがもどかしい」と言いながらも、発表会に向けて準備や稽古など忙しい日々を送っている。「人間は美しい姿を持っている。その姿を多くの人に見てもらいたい」。バレエに人生を捧げた藤田さんの姿を追う。
(MBC南日本放送/吉村博徳)
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