今年もプロ野球日本一を決める戦いが始まる。当たり前だが、12球団でその大舞台に立てるのはクライマックスシリーズを勝ち抜いた2球団だけ。特別な試合に臨む選手の心境はどんなものか? 特に初めて経験する選手は、夕べはなかなか寝付けなかったかもしれない。
今から26年前の1999年。当時のダイエーホークスが、福岡に本拠地を移してから初めてのリーグ優勝。まだCS制度がなかったため、そのまま日本シリーズへと進んだ。当時、入社9年目の自分にとって、もちろん初めてのシリーズ実況となった第2戦。一回表の中日の攻撃が終わり、CMの間に頭部からの大量の汗をタオルで拭った。その様子を見ていた隣の解説者から「日本シリーズの重みが分かっているね」との一言。それまで、何試合も経験していたはずの実況でも、日本シリーズともなると極度に緊張したのを覚えている。以来、ありがたいことに、日本シリーズの中継を幾度となく担当させてもらった。
選手は、日本シリーズはもちろん、その出場権をかけたCSやWBCなど、ビッグゲームを経験することで大きく成長するという。これは、我々実況アナウンサーもまったく同じ。10月は、大きなステージに数多く導いてくれた地元チームの有難さを痛感する季節である。
10月25日(土)毎日新聞掲載
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