年間600台のピアノに向き合い、その背景にある物語を音に変える“音の魔術師”、サウンドコーディネイターの越智雅之さん(53)。彼の仕事は単なる調律ではありません。自らを「ピアニストと楽器の通訳」と称し、ピアノを分
解・メンテナンスすることで理想の音を作ります。
例えば「グラスに静かに注いだミルクティーのような音」といったピアニストからの抽象的な要求にも、弦を叩くハンマーのフェルトを針で刺し、音の柔らかさを調整するなど、卓越した職人技で応えます。大手楽器メーカーから一度はラーメン店へ転職した異色の経歴の持ち主。しかし師の言葉で調律の世界に戻り、厳しい修行を経て独立。ある日、娘の就職を機に手放す古いピアノの依頼が舞い込みます。
「最後に綺麗にして次の持ち主へ」という家族の想いに応え、ピアノが持つポテンシャルを極限まで蘇らせます。完成した音を聴いた家族は、ピアノに没頭したあの頃を思い出し涙…。「音」で人の心を動かしたい。日々、ピアノに向き合う越智さんの情熱を描きます。
(RKB毎日放送/吉賀 亜希子)
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