収穫の秋、緑色の果実が実る森がある。ふっくらとした実もあれば、楕円形の果実も。メキシコが原産国の「アボカド」だ。鹿児島県日置市の「ゆす村農園」は、「森のバター」と呼ばれるアボカドを中心に、熱帯果実など100種類以上の苗の育成・販売を手がけている。
代表の東愛理さん(40)は、農業大学校在学中の2005年に起業。当初はマンゴー生産を目指したが、冬場の加温の厳しさから、みかん農家からの依頼を機に苗木生産へと転換した。特に40品種を栽培するアボカドに可能性を感じ、鹿児島を一大産地にするため県内各地へ苗木を提供している。
現在、店頭に並ぶアボカドのほとんどは、輸送上の制約から限られた品種(主に皮の硬いハス種)の外国産だ。しかしアボカドには本来1000以上の品種があり、国産化が進めば、多様な品種を日本の土地で育てる農業の可能性が広がる。県内をはじめ県外にも「アボカドの世界」を広めるため苗木の栽培を行っている。鹿児島の土壌や栽培環境に合う品種を選定。鹿児島市内にあるアボカド料理専門店との連携も始まった。
離島から山間地まで、季節ごとにアボカドをリレー出荷できる未来を目指し、挑戦を続けている。
ゆす村農園
〒899-2514
鹿児島県日置市伊集院町中川604-1
090-3664-4421
ArinCo(アリンコ)
〒892-0842
鹿児島県鹿児島市東千石町6-1
ニシヤマビル 2F
099-226-5607
取材後記
ベーコン、ピンカートン、エドラノール、モンロー・・・。これらは、全て「アボカド」の品種。原産国はメキシコの果物です。世界中に1000以上の品種があると言われ、そのうち50種類を育てているのが、今回の舞台「ゆす村農園」。アボカドやマンゴーなどの苗木を育て、販売しています。
農園の代表・東愛理さんは、農家からの相談を受けたことがキッカケで、2010年ごろからアボカド栽培に挑戦。詳しい栽培方法もわからず、文献と手探りで始めました。「鹿児島の気候に合う品種を探すのが本当に大変だった」と仰っていましたが、当時のことを楽しそうに話される姿を見ていると、「アボカドを育てたい!」と思い描いた未来が実現している「今」が楽しいからなのだと思います。
アボカド栽培は耕作放棄地対策、低木品種は高齢者が始める農業にも向いているといいます。まだまだこれからが楽しみな農業の1つです。現在は、流通しているほとんどが海外からの輸入品。一般的なスーパーマーケットで見かける品種「ハス」の隣に、国産アボカドが並ぶ日が来ることを願いつつ、まずは昨日食べたアボカドの種(ハス)を庭に植えてみようと思います。
(MBC南日本放送/七枝 大典)
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