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アートで自己表現できると気付いた! 発達障がい持つ青年 「師匠」の前では素敵な笑顔が出せるように

文字やデザインを切り抜いたシートを絵の上に置いて、穴が空いたところだけスプレーで色を付ける、「ステンシル」と呼ばれるアート。制作している男性には発達障がいがあり、他人とのコミュニケーションが極めて苦手でしたが、アートの制作を通じて、少しずつ自分の世界を広げようとしています。

「ステンシル」アートの作者は

商業施設のフロアを華やかに彩る作品。海外ブランドの時計を扱うショップの店頭にも飾られています。

スカーゲン天神VIORO店 光武七恵店長「私もデザインするのが好きなんですけど、独創的だなと思って素晴らしいなと思いました」

これらの作品は、障がいがあるアーティストが制作しました。佐賀県基山町にある障がい福祉サービス事業所「PICFA」。様々な障がいがあるメンバーが、思い思いに創作に取り組んでいます。
時計店に飾られた作品を描いた北村彰吾さん(28歳)です。

Q.このスプレーで書き始めてどれぐらい経つんですか?
北村彰吾さん「5年ぐらいですかね」

先天性の障がいでコミュニケーションに問題が

切り絵がきっかけに

外見からは分かりにくいのですが、北村さんも発達障がいがある障がい者です。福岡県大刀洗町で暮らす北村さんは、他人とのコミュニケーションが苦手で、かつては家の外へ出ることもできませんでした。

 

 

母 北村千鶴さん「中学校の時に学校内の部活動でトラブルがあって、行けなくなっちゃったんですね。食べることも、お風呂に入ることもできないっていう」

通信制の高校を卒業した後、最初に通った福祉施設は長く続かず、5年ほど前、PICFAの門を叩きました。初めて訪れた時のことを、施設長の原田啓之さんは鮮明に覚えています。

PICFA 原田啓之施設長「北村君はコミュニケーションがとても苦手なので、(付き添いの人が)『私に話してください』って。なかなか慣れている人じゃないと返答が難しいので、一回介して話していた。(PICFAに)『来るんだったら、覚悟を決めてこないと創作はできんよね』って話をして…もう俺、ぶっちゃけ来んかなって思ったっちゃん」

切り絵がきっかけに

母 北村千鶴さん「休んでることもしょっちゅうあったんですね。PICFAさんから『顔出しだけでもいいから来てよ』って電話がきたら、『ん~』って迷いながらも、途中で電車降りながらも行った感じですね」

人混みが怖くて、わずか5駅先までの電車にも乗れませんでしたが、少しずつ克服。PICFAに通い続ける中で、絵を描き始めるきっかけが訪れます。

PICFA 原田啓之施設長「お母さんから泣きながら電話があったんよね。『切り絵をやってみた』って言って見せてくれましたって。ここまでできるんやったら『ステンシルっていう技法があるからやってみる?』って…」

 

施設長の原田さんは、アートの経験がない北村さんに、デザインをくり抜いたシートにスプレーで色を吹き付ける「ステンシルアート」を得意とする博多絵師・雄猿さんを紹介しました。

「師匠」との出会いで大きな変化が

RKB小畠健太「イベント会場に詰めかけた大勢の人の前で、アートの師匠とともにライブペイントに挑んでいます」

福岡県志免町で10日に開かれたイベントに、雄猿さんと一緒に出演した北村さん。200人を超える観客の目の前で作品を描きます。

PICFA 原田啓之施設長「ステンシルを教えてもらった人の隣で描ける喜びと、安心感は結構いいかなと思います。朝からけっこうニコニコだし、なんか伸び伸びやれてるんじゃないかなと思います」

スプレーを使いづらい強風の中、3時間かけて作品を仕上げました。

Q.自分のきょうの出来は?
北村彰吾さん「結構いい感じで出来ました」
Q.師匠と比べて?
北村彰吾さん「やっぱりまだかなわないですね」
博多絵師 雄猿さん「こんな(小さい)の描くので、必死だったんじゃないですかね、あの頃って。今は独りで、これ描けるけん。すごい成長ですよね、人としても。絵をずっと描き続けた方がいいよ。何かの自分のきっかけになっとうわけやけんね」
北村彰吾さん「描き続けます」
雄猿さん「元気にね。健康で」

自分の夢に向かって 応援する人たち

RKB小畠健太「イベント会場に詰めかけた大勢の人の前で、アートの師匠とともにライブペイントに挑んでいます」

福岡県志免町で10日に開かれたイベントに、雄猿さんと一緒に出演した北村さん。200人を超える観客の目の前で作品を描きます。

PICFA 原田啓之施設長「ステンシルを教えてもらった人の隣で描ける喜びと、安心感は結構いいかなと思います。朝からけっこうニコニコだし、なんか伸び伸びやれてるんじゃないかなと思います」

スプレーを使いづらい強風の中、3時間かけて作品を仕上げました。

Q.自分のきょうの出来は?
北村彰吾さん「結構いい感じで出来ました」
Q.師匠と比べて?
北村彰吾さん「やっぱりまだかなわないですね」
博多絵師 雄猿さん「こんな(小さい)の描くので、必死だったんじゃないですかね、あの頃って。今は独りで、これ描けるけん。すごい成長ですよね、人としても。絵をずっと描き続けた方がいいよ。何かの自分のきっかけになっとうわけやけんね」
北村彰吾さん「描き続けます」
雄猿さん「元気にね。健康で」

自分の夢に向かって 応援する人たち

北村さんの次の目標は、個展を開くことです。

 

PICFA 原田啓之施設長「北村君自体がどこかに就職したいとか、やりたいことがほかに見つかれば、どんどん応援していきたい。PICFAは絵を通してだとか、いっぱいスキルを積んでもらって、いっぱい失敗してもらって、それが自分の夢に向かっていく通過点として僕たちがいられたらなとすごく思っています」

障がいがあっても、人との出会いや環境によって人生を変えることができる。自分の活躍の場を少しずつ広げていく北村さんの姿が、そのことを私たちに伝えています。

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