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「原価計算が追いつかない」円安で原料&電力高騰、プラ企業がため息~福岡

円安に加えて原油価格の高騰に苦しんでいるのがプラスチックの製造会社です。福岡県筑後市の老舗企業は、原料が約2倍に高騰し、工場ラインを動かす電力も4割アップする苦境に立たされています。


◆原料の価格が2倍になった
次々に製造されるプラスチック製のボトル。福岡県筑後市に本社を置く「勝和産業」の工場です。しょうゆやドレッシングなどの食品向けの小型容器を主力に来年で創業75周年を迎える老舗企業です。

横溝邦博社長「PET製品の原料です(Q.価格は?)上がってますね。原油が上がったからずっと上がっています」

石油から作られさまざまな容器の原料となるPET:ポリエチレンテレフタレートは、そのほとんどを輸入に頼っています。

原油高騰の影響で輸入価格はほぼ右肩上がりに上昇し、今年7月には去年1月の倍以上に高騰。24年ぶりの水準まで急激に進んだ円安の影響も大きく、現在は高止まりの状況です。

横溝社長「三菱さんや三井さんが作っていますけど、世界の競争から規模で負けていますね。もうほとんどのメーカーは海外から買っています。円安がもろに響いてますね」


◆電力も4割↑「計算が追いつかない」
値上がりしているのは原料だけではありません。出荷する際の包装資材も軒並み値上がりしています。勝和産業では、製造ラインを可能な限り自動化するなどして、生産性を上げてきました。

横溝社長によると、この自動化した製造ラインを動かすのに不可欠な「電力」も来年以降、現在と比べて4割以上値上がりする見込みだといいます。

横溝社長「ちょっと読みにくいんですよね、原価計算をやらないといけないんですが、やっている途中にどんどんどんどん上がってきているから、追いついてないんです」


◆価格転嫁が難しい理由
製造コストの上昇から納入先の食品メーカーに対してすぐにでも値上げを求めたいところですが、簡単にはいきません。

横溝社長「農作物、小麦、大豆、砂糖、向こうで言う主原料が相当上がってます。私どもが供給しているようなメーカーさんがどんどん値上げするので、私どもに利益が少し回されてくる感じですね(Q.順番としては?)一番最後ですね」


◆「機が熟すのを待つしか・・・」
さらに近年は海洋汚染の原因となっている使い捨てプラスチックを削減する動きが加速しています。勝和産業でも原料の使用量削減に貢献するペットボトルの軽量化や、植物由来であるバイオプラスチック原料の導入など、新たな挑戦を続けています。

横溝社長「今までは乗り越えてきましたがこれから先は難しいんじゃないかと考えています。機が熟すのを待つしかない」

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