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突然のJアラート「出たらどうする?」 5年前の福岡・ソウル大規模訓練を参考に考える

北朝鮮のミサイル発射を受けて、政府が出したJアラート。10月、11月と相次ぎました。もし、自分たちが暮らす地域に出た場合、どう行動すればいいのでしょうか。  

「Jアラート」への対応に追われる

11月3日朝、北朝鮮は3発の弾道ミサイルを日本海に向けて相次いで発射。政府は新潟県、山形県、宮城県を対象にJアラートを出して、避難や警戒を呼びかけました。実際にはミサイルは日本列島を通過せず、飛行に失敗したと見られていますが、Jアラートの対象地域では新幹線や在来線の運転を一時見合わせるなど、対応に追われました。
「電車に乗っている時に、エリアメールで知って、(車内は)ざわついていましたね」「怖いですね、いつ飛んで来るか?って、おびえていました」
また、Jアラートが出た当時、海の上にいた人は……。
乗船客「私たち船に乗っていたので、どうすることもできないので。覚悟した、一瞬のうちに恐怖で」 漁師「仕事をしていても、ちょっと怖いですよね、まさか落ちてこないだろうと思いつつも」

福岡に出た時どうしたら?

福岡県を対象にしたJアラートが出た場合、私たちはどのような行動をとればいいのでしょうか?
「分かんないです」「地下街に逃げるか……。何も考えてないです」
政府の方針によると、ミサイルの着弾に備えて、警報を受け取った人は頑丈な建物や地下へ避難。近くに建物がない場合は物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭を守る。屋内の場合は窓から離れるなど、爆風や破片から身を守る行動を呼びかけています。
東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授「屋内が比較的、外にいるよりも(安全な)可能性が高い。かつガラスから遠い場所。もし歩行中や運転中で、近くに頑丈な建物で受け入れてくれそうな場所があれば、ぜひそこに身を寄せてもらいたい」

「緊急一時避難施設」に2427か所が指定

福岡県は、ミサイル攻撃があった場合の一時的な避難先として、コンクリート構造の学校や体育館など、県内の2427か所を「緊急一時避難施設」に指定しています。このうち、身を守るのに特に有効とされるのが地下施設です。
RKB原口佳歩「福岡市地下鉄は、駅舎が地下にある33駅が、Jアラートが出た場合の避難施設に指定されています」
福岡市が指定する一時避難の地下施設は、地下鉄の駅や天神地下街、天神中央公園の地下駐車場など49か所です。一方、北九州市の地下施設は、横断地下道など6か所です。ただ、地下施設は多くの人の避難先として十分とは言えないうえ、そのほかの地域にはほとんどないのが実情です。福岡県は今後、市町村にある地下も含めた公的な施設で、ほかにも緊急一時避難施設として利用できる場所がないか、確認を進めることにしています。

5年前は福岡市とソウルで大規模訓練

Jアラートの伝達手段は、主に3つです。市町村からの防災無線など。携帯電話各社を通じた緊急メールの配信。そして、テレビやラジオによる放送です。5年前のミサイル発射でJアラートが発令されたあと、福岡市が実施した大規模な訓練の様子です。
RKB三浦良介「北朝鮮のミサイル発射を想定した訓練が始まりました。公園にいた人が地下の方に避難していきます」
福岡市は2017年12月に、国と連携した大がかりな訓練を実施。訓練であると表示した上で、ミサイルの発射によってJアラートが出たことや上空を通過したことを、市民の携帯電話にメールで送信しました。
「初めびっくりしましたね、音が」
これを受けて、地下鉄や西鉄、JRの車両が安全確認のために一時停車したほか、小学校では、授業を一時中断して子供たちが校舎の中に避難。繁華街、天神の公園では、市民が地下街に移動して身を伏せました。
「子供と一緒の時だったらいいんですけど、別の時はどうするんだよっていう話を家でした方がいいかなと思いました」
RKB上土井剛「ソウルの中心部で、サイレンが鳴り響いています」
一方、同じ2017年にお隣、韓国で実施されたミサイル攻撃を想定した訓練。ソウルの繁華街で地下街への避難を呼びかけましたが、福岡の訓練の光景とは対照的でした。
「中に入ってください! 地下に入ってください!」
「(北朝鮮のミサイル挑発が)繰り返されるから、もう慣れていますよ」

疑問残った今回のJアラート

訓練から5年経って、再び現実のものとなったJアラートですが、10月4日に出された際には、一時関係の無い東京の離島の地名が表示されるミスが発生。さらに11月3日の場合は、発令の時点ですでに日本の上空を通過すると予測された時刻を過ぎていたうえ、実際には通過しなかったとあとで訂正する事態になり、情報の速さや正確さに疑問も残りました。
小野寺五典 自民党安全保障調査会長「撃って上がったんだけれども消失したので、どう評価していいかということに時間がかかり、結果として『発射した』というのは、すでに通過した後になってしまった。ちょっと恥ずかしい状況の発表だったと思う」
さらに、緊急地震速報や自治体からの避難指示など日常的にさまざまな緊急速報が配信される中で、Jアラートの危機感が薄れてしまうことも懸念されています。
東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授「いろんな情報が何度も届くのは、煩わしい面もなくはないと思うが、危険から身を守るための行動を促すという情報がこれだけ充実している国は他にはない。災害や危機が実際起きなかったとしても、実際に行動して練習の機会にすることがとても大事」

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