福岡県大任町が公共工事の入札結果を非公表にしている問題は、国や県が「違法」と指摘していますが、永原町長は10日も、公共工事に使われる税金が誰にいくら支払われているのか、公表する意思を示しませんでした。
大任町は「違法」大臣・県知事が相次いで指摘
福岡県大任町は、町が発注する公共工事について落札した業者名や金額などを非公表にしています。入札結果の情報は公正な競争や不正行為の排除のため法律で公表が義務付けられており、国交大臣や服部福岡県知事が相次いで「違法」と指摘していました。
斉藤鉄夫国交大臣「福岡県大任町が、公共工事の入札結果を非公表としていることは把握しております。入契法(公共工事の入札および契約の適正化の促進に関する法律)に違反しているため、改善いただく必要がある」
服部誠太郎福岡県知事「大任町が公共工事の入札結果を公表しないということは、やはり入札契約適正化法に違反するものである」
記者の質問にきょうも答えず
10日、福岡県町村会の会長として、県庁を訪れた大任町の永原譲二町長。
RKB三浦良介「公共工事の入札結果は公表されるんですか? 国や県が『非公表は法律違反』としていますが」 永原譲二町長「……」永原町長は記者の質問には答えず、改善の意思を示しませんでした。大任町では現在、田川地区の8市町村が共同で使用するごみ処理施設の建設が進められています。この大型公共工事についても業者名や金額などを明らかにしていません。
理解できない町長の言い分
非公表の理由について永原町長はこれまで「犯罪の予防だ」と持論を繰り返してきました。
永原町長「業者から、えらいヤクザから電話がかかってきて、『お前、なんぼで仕事しよろうが』とより詳しい電話が入ると。何でヤクザがそんなこと、なぜあるんですかと苦情が来た」「法制担当に確認しました。『情報公開はしなければならないとなっているけども、どうしたらいいだろうか』と言ったら、『それは町長の判断で犯罪の恐れがあるということで予防という意味であれば非公開で十分いいですよ』と」
Q.お墨付きがあるから非公開? 永原町長「そうです、そうです」
Q.どこが出したんですか、お墨付きを。国ですか? 永原町長「どこって言ったら、またあんたたちそこに取材に行く」
町村会会長として「財源を要求」まさかの態度
国交省は「犯罪の予防は非公表の理由にはならない」との見解で、法令遵守を求めています。公共工事の詳細を公表しない永原町長は10日、福岡県町村会の会長として、「地方創生の推進」や「地方自治の確立」など7項目を国に働きかけてほしいと服部知事に要望しました。要望の中には、地方交付税の確保交付金の拡充など財源の要求も含まれています。
福岡県町村会 永原譲二会長「将来にわたり町村の果たす役割の重要性は不変であり、私どもは町村行政の最高責任者として負託に応えてく覚悟でございます」
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。