ホテルなどがアイデアを出し合って福岡市と観光の将来像を描く取り組みが始まりました。温室効果ガスをできるだけ出さないツアーを計画。得られた知見をほかの観光業者と共有するのが狙いです。個性豊かな参加メンバーは、移動は“電動バス”食事は“ヴィーガン”、泊まるホテルはふく射熱を利用した“省エネ冷暖房”というコースに参加。サステナブルに抱くイメージが「面倒くさい」から「わくわく」に変わったと話します。
(国連は世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える目標を掲げています。RKBは地球温暖化を防ぐ取り組みを連載しています)
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6つの事業者が提案「こんな観光はアリ?」
福岡市のホテルの屋上に集まったのは、持続可能な観光=サステナブルツーリズムの参加者です。新型コロナの感染拡大以降、旅行のあり方が見直されるようになりました。このツアーは、環境に配慮した新たな旅行の形を探ろうと福岡市が初めて実施したもので、ホテルなど6つの事業者が提案した実証実験が行われています。
ホテルグレートモーニング・二枝徳英さん「電気や水、エネルギーをすごく使うので、ホテルの責任として少しずつですけど、環境や人に良い取り組みを行っていきたいですね」ツアーには個性豊かなメンバーが参加しました。その1人が、社会問題の解決を目指す株式会社を設立しメディアでも注目を集めている12歳の社長・レウォンさんです。
レウォンさん「地球だけでなくヒトにも優しく、自分がいて気持ちいいところも大事です。そうじゃないと続かないし、そこが一番楽しみかもしれないですね」成人男性で唯一参加した桑原功一さん。反日集会が起きていた韓国など世界各国で偏見をなくそうと通りがかりの人と抱ようを交わす活動=フリーハグを行っています。戦時下のウクライナに2か月間滞在し10日前に帰国したばかりです。
桑原功一さん「日本は世界から見たらそこまでサステナブルは進んでいないと思います。最先端の技術を体験できる場なので楽しみです」
循環型たい肥で育った野菜
参加者が乗り込んだのは走行時に二酸化炭素を排出しない電動バス。再生可能エネルギー由来の電気を使用しています。そのバスに揺られ一行が向かったのは肉や魚のほか、卵や乳製品を使わないヴィーガン料理を出す飲食店です。最近では食肉の生産過程で出る温室効果ガスも問題となっています。そのため、このツアーでは肉を使わない料理が提供されました。
リセルキッチン・栗原輝明さん「畑育ちのヴィーガンハンバーグ御膳を用意しました。野菜と果物だけで作っています」 レウォンさん「初めてなんですけど、思ったよりめっちゃおいしい、本当にお肉みたい」 桑原さん「ヨーロッパでは普通なので、日本でも当たり前の選択肢になってほしいです」
“地球に優しい”は実は面倒くさくなかった
続いて向かったのは、生ゴミを活用した堆肥で野菜を栽培している農園です。参加者たちは循環型のたい肥で育ったベビーレタスやカブ、ニンジンなどの野菜を収穫していきました。
レウォンさん「すご!真っ黄っ黄やん」ツアーの参加者が泊まるホテルには、風がなく音もしない冷暖房システム・F-CONが導入されています。パネルに夏は冷水冬は温水を流し、そのふく射熱で冷房や暖房の効果が得られます。エアコンに比べて2割の省エネ効果があったということです。さらに館内で使う電気はすべて再生可能エネルギーを使用しています。
二枝徳英さん「FーCONだけでなく建物の造りからこだわりホテル全体が環境にやさしい省エネルギーな建物になっています」
“地球に優しい”は実は面倒くさくなかった
エコなホテルでゆっくり過ごした参加者たち。持続可能な観光の締めくくりとして朝食で前の日に収穫した野菜を味わいました。ツアーを通じて「持続可能性」=サステナブルに対するイメージが変わったということです。
桑原功一さん「面倒くさいし、我慢ばかりと思っていたんですけど、ワクワクすることが多くてポジティブなイメージに変わりましたね」移動手段や過ごし方、食べるものから寝る場所まで。「1.5℃の約束」を達成するには普段の生活から意識を変えていくことが第一歩です。
レウォンさん「ちょっとだけ意識を変えて積み重ねていかないと。100倍くらいヤバいことになれば終わりな気がして。崖っぷちだから」 福岡市観光マーケティング課・原口智雄課長「CO2の抑制や観光旅行のノウハウを蓄積して観光事業者と共有し、市全体としてサステナブルツーリズムを推進していきたいです」
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