今井美樹のヒット曲~作詞・上田知華&作曲・岩里祐穂コンビの魅力
シンガー・ソングライターで、作曲家としても多くの楽曲を提供してきた上田知華さんが、去年亡くなっていたことが、先月報じられた。64歳だった。今井美樹が歌った2曲は、彼女が遺した歌の中でも特にヒットした。かつて作詞家志望だった、元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎さんが、RKBラジオ『立川生志 金サイト』の中で歌詞を読み解いた。
自身の歌とピアノに、弦楽四重奏団を組み合わせたバンド、「上田知華+KARYOBIN」で1978年にデビューした上田さん。CMソングにもなった「パープルモンスーン」など多くのヒット曲を残しています。昨年9月にがんで亡くなっていたことが、今年4月になって公表されたんです。64歳でした。彼女が遺した歌の中で最もヒットし、私も大好きな2曲を紹介します。
“かけがえのない想い”が伝わる「瞳がほほえむから」
「瞳がほほえむから」の作詞は岩里祐穂さん。岩里さんもシンガー・ソングライターでしたが、今井美樹さんと出会ってから、作詞に専念したと言われています。
テレビのCMに出ていた今井さんを見て、彼女に歌ってほしいと、上田さんと曲を作ってレコード会社に持ち込んだのが始まりだったそうです。今井さんは、それまでのアイドルになかった、自分の意志や価値観がしっかりしている印象、繊細だけど凛とした「唯一無二の存在」だと思ったそうです。
その岩里さんと上田さんのコンビの代表曲の一つが、テレビドラマの主題歌にもなった、この歌。もう歌い出しで「胸キュン」です。
ねえ この世に生まれて
最初の朝に何が見えたの?
今 その輝きで
あなただけを見つめている
実はこの歌のどこにも「好き」とか「愛している」とか直截的な言葉はないんですが、この冒頭の歌詞ほど、相手を「かけがえなく思っている」ことが伝わる表現を、私は知りません。好きな人にこんなこと言われたら、きっと誰でも泣くと思います。
歌詞とメロディ、そして今井美樹さんの声――私、女性ボーカリストの「二大癒し系」の声は今井さんと、元ハイファイセットの山本潤子さんだと思っていて、お二人の歌は帰宅の満員電車の中とかで、よくイヤホンで聞きます。
そして、続く歌詞は
一面に咲いた菜の花の色
ほら拍手のように揺れてる
「拍手のように揺れる」って比喩、よく浮かんだなあと思いますし、見慣れた風景が、花にも祝福されているように、違って見えますよね。言葉のマジックです。
そしてまた、最後の歌詞が泣かせます。
うれしい あなただけが
私だけをさがしていた
見つめて ふたつの瞳に 言葉はいらないの
ほら 瞳に映る
あなたが今ほほえむから…
実は歌詞で「うれしい」という感情表現はあまり使いません。でも、出会えたこと、愛してくれたことを素直に「うれしい」と言える真っすぐさが「瞳」に浮かぶから、この歌に、ただのラブソングではない「意志」が生まれるんですね。
テレビのCMに出ていた今井さんを見て、彼女に歌ってほしいと、上田さんと曲を作ってレコード会社に持ち込んだのが始まりだったそうです。今井さんは、それまでのアイドルになかった、自分の意志や価値観がしっかりしている印象、繊細だけど凛とした「唯一無二の存在」だと思ったそうです。
その岩里さんと上田さんのコンビの代表曲の一つが、テレビドラマの主題歌にもなった、この歌。もう歌い出しで「胸キュン」です。
ねえ この世に生まれて
最初の朝に何が見えたの?
今 その輝きで
あなただけを見つめている
歌詞とメロディ、そして今井美樹さんの声――私、女性ボーカリストの「二大癒し系」の声は今井さんと、元ハイファイセットの山本潤子さんだと思っていて、お二人の歌は帰宅の満員電車の中とかで、よくイヤホンで聞きます。
そして、続く歌詞は
一面に咲いた菜の花の色
ほら拍手のように揺れてる
そしてまた、最後の歌詞が泣かせます。
うれしい あなただけが
私だけをさがしていた
見つめて ふたつの瞳に 言葉はいらないの
ほら 瞳に映る
あなたが今ほほえむから…
凛とした女性像を結ぶメッセージソング「PIECE OF MY WISH」
もう1曲。岩里さん、上田さんコンビ最大のヒット曲「PIECE OF MY WISH」です。2番の歌詞に「希望のかけらを 手のひらにあつめて」とあるので、タイトルは「希望のかけら」と訳すべきなのでしょう。希望は一般的に「hope」ですが、「wish」のほうがより困難な希望、祈りにも似た「願い」です。
さて、実はこの歌詞、岩里さんが妊娠中に、ずいぶん悩みながら書いた詩で、主題歌になったドラマ初回の翌日が出産だったそうです。だから「母性がにじみ出ているかもしれない」と、ネットのカルチャーサイト「リアルサウンド」のインタビューに語っています。この歌に慰められたり、励まされた方がどれだけいるでしょう。特に女性は、お母さんに髪をなでられながら、語り掛けられているような思いじゃないでしょうか。
どうしてもっと自分に
素直に 生きれないの
そんな思い 問いかけながら
あきらめないで すべてが崩れそうになっても
信じていて あなたのことを
この歌は繰り返し「自分を信じて」と呼びかけるんですが、でも「凄い!」と思うのは次の歌詞、
愛する人や友達が
勇気づけてくれるよ
そんな言葉 抱きしめながら
だけど最後の答えは
一人で見つけるのね
と、突き放すんです。「めぐり 続く 明日のために」と続いて、自分の人生なんだから、時には人に甘えても、最後は自分で決めなさい――と。この歌詞があるから、この歌はただの慰めで終わらない、凛とした女性像を結ぶメッセージソングになるんです。
そして最後の歌詞はまた
いつかすべてが
崩れそうになっても
信じていて あなたのことを
と呼びかけ、最後のワンフレーズだけ「信じていて」ではなく、「信じていて『ほしい』」と、優しく願って余韻を残します。
言葉とメロディ、今井さんの声が相まって、「崇高」とさえ言える励まし、心に寄り添う歌が生まれました。
上田さんのご冥福を、心からお祈りします。
さて、実はこの歌詞、岩里さんが妊娠中に、ずいぶん悩みながら書いた詩で、主題歌になったドラマ初回の翌日が出産だったそうです。だから「母性がにじみ出ているかもしれない」と、ネットのカルチャーサイト「リアルサウンド」のインタビューに語っています。この歌に慰められたり、励まされた方がどれだけいるでしょう。特に女性は、お母さんに髪をなでられながら、語り掛けられているような思いじゃないでしょうか。
どうしてもっと自分に
素直に 生きれないの
そんな思い 問いかけながら
あきらめないで すべてが崩れそうになっても
信じていて あなたのことを
愛する人や友達が
勇気づけてくれるよ
そんな言葉 抱きしめながら
だけど最後の答えは
一人で見つけるのね
そして最後の歌詞はまた
いつかすべてが
崩れそうになっても
信じていて あなたのことを
言葉とメロディ、今井さんの声が相まって、「崇高」とさえ言える励まし、心に寄り添う歌が生まれました。
上田さんのご冥福を、心からお祈りします。
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