PageTopButton

メイドイン田川の“山の幸”、ジビエと川魚を満喫

UMAGA

今や我が国でもすっかり定着した感のあるジビエ料理。
もともと狩猟が盛んだったフランスなどのヨーロッパで発展した食文化ですが、日本における近年のブームには違った側面もあります。

よくテレビなどで街中に出没したイノシシを捕獲するために警察官が出動する騒ぎが報道されますが、実は野生の鳥獣による農作物への被害(獣害)はさらに深刻で、イノシシの被害だけでも福岡県内で年間に3億円を超えるといわれています。

そんな故郷の里山を守るために、「ジビエ料理を多くの人に食べてもらうことで地元の農家を支援したい」という思いから昨年3月に開店したのが、白金の「フォレスト商会」です。

店主の永原裕太さんは田川郡大任町の出身で、専門学校卒業後は和食や水炊きの店で修業した後、鹿児島の山奥にある旅館で働くことになります。
「その時に改めて”山の幸”の素晴らしさを実感したんです」。実は永原さんの母方の実家は田川郡添田町で鯉と山女魚の養殖場を営んでおり、川魚やイノシシ、シカなどの獣肉は子どもの頃から身近な食材でした。
山菜や山桃などの果実も自生しており、「山の幸だけで前菜からデザートまでフルコースが作れるのって、海の幸よりスゴくないですか?(笑)」と胸を張ります。

毎週月曜の定休日は田川に戻り、地元の猟友会の人たちと1日山に入って狩猟を手伝っている永原さん。
「僕は狩猟の免許を持っていないので猟師さんのサポート役として80~90kgもあるシカを運んだり、途中で山菜や果実を採ったりしています」。
獲れたてのジビエ肉と養殖場で育てている鯉や山女魚を生かしたたまま持ち帰り、翌日からの営業に備えているというわけです。

さっそく出してもらったのは、さっきまで生きていたという「鯉の刺身」(800円)。
添田町の養殖場では彦山川の清流を引いているため鯉独特の泥臭さがまったくなく、氷で締めた洗いにせずとも刺身で食べられます。
身はもっちりとして歯ごたえがあり、甘めの醤油にはワサビではなく自家製の柚子胡椒が良く合います。

山女魚は日本酒と塩を振りかけながら、遠火の強火でじっくり炭焼きに。
ふっくらとジュシーに焼き上がった山女魚を串ごと手に取ってガブリと噛みつけば、パリッとした皮目の中の身は淡白ながらも甘みのある味わいです。
水温が20℃以下になる晩秋から冬にかけては活き造りでも食べることができ、産卵期の山女魚からは黄金色のイクラも取れるということですから、そちらも楽しみですね。

さて、いよいよ真打ちのジビエの登場です。イノシシやシカの肉は獲れる時期や雌雄などの個体によって味が違い、この日は雌イノシシの肩ロース(写真左)と、85kgもの雄シカの外モモ。
まずイノシシの方はしっかりと歯ごたえがあり、特に脂身のうまさが格別です。シカはレアに近い焼き加減で、キメの細かい肉質から微かに血の香りが漂います。あえて特別なソースは使わず、スパイスを混ぜたモロミ、野生の実山椒、塩だけで食べることで、ジビエならでは野趣を最大限に味わえます。

しかもこのジビエの炭火焼き、100g1,000円という超リーズナブルな価格(写真は各100g)! 「安すぎませんか?」と尋ねると、「多く人に沢山食べてもらうことで需要が増えれば獣害被害を減らすことにもつながるので、あえて安くしています」とのこと。みんなでジビエをたくさん食べて、福岡の里山をサポートしましょう!

さらに〆には、永原さんが毎日手打ちするツルシコの二八そばが食べられます(写真はざるそば500円)。
甘めのつゆは、鰹節、昆布、シイタケに鯖節を加えてジビエに合わせた味付けにしているといい、随所に和食の技が効いています。
「今はなるべく素材の良さを生かしたシンプルな料理に徹していますが、今後は徐々にメニューのバリエーションも増やしてきたい」と、さらなる進化に期待大です。
古民家を改装した店内は、レンガ造りの焼き台が据えられたオープンキッチンまわりのカウンター席と別室にゆったり寛げるテーブル席を用意。気のおけない雰囲気の中で、メイドイン田川の“山の幸”を使った料理が満喫できます。

店舗情報

店名 フォレスト商会
住所 福岡市中央区白金2-15-17
電話番号 092-791-7119
営業時間 18:00~OS翌1:00
定休日 月曜
URL https://www.instagram.com/forest_shoukai/
※この記事は取材時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等は変更の場合があるため、
おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
※撮影時にマスクやアクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。

外部リンク
白金でジビエ料理を満喫朝倉産の野菜が主役!身体が喜ぶヘルシーフレンチ

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

この記事を書いたひと

UMAGA

homePagefacebookyoutubexinstagram

魅力的な福岡の食文化をもっと楽しんでいただくためのバイブルとして、厳選した信頼性のある情報を毎日更新中。