「六花舎」は、炉端焼きで人気の「鎮座 タキビヤ。」が手がけるもつ鍋専門店です。押しも押されもせぬ人気店が母体とくれば、客から寄せられる期待も相当なものでしょう。しかし2017年の創業以来、「六花舎」はその重圧を次々と跳ね返し、もつ鍋マニアたちを歓喜させ続けています。
モダンな店構えから、すでにひと味違う何かを予感させる「六花舎」。博多駅から徒歩5分の場所とは思えない静かな場所ですが、さすが県外でも知られる人気店、週末はほぼ観光客で埋まる日も珍しくないそうです。
店に入ると、すぐ右手は広いオープンキッチン。快活なスタッフの一挙一動が、フロアに気持ちのいい躍動感を伝えていました。福岡の代表的建築デザイナー・中村久二さんによる内装も洗練されており、デートや大事なもてなしにも使えそう。奥の方には完全個室になるスペースがあり、こちらは3~5名で利用できます。
店内で目を引いたのが、太い切り株のような酒樽。これは桜の木をくり抜いて焼酎を漬け込んだ宮崎産の「桜焼酎」(グラス440円)で、桜の香りとともに楽しむ創業以来の人気酒です。またワインはナチュールのみを取り揃え、ワイン党のニーズにも応えています。
さて、もつ鍋の前に少々腹ごしらえを。メニューには季節ものを含む料理やアテが並び、「タキビヤ。」のDNAを持つ上質な美味が味わえます。なかにはもつ鍋を頼まず、居酒屋として使う常連もいるのだとか!
まず頼んだのは、1週間ほどアゴ出汁に漬け込んだ「自家製明太子」(880円)。たかが明太と侮るなかれ。塩辛さを抑えつつ、1粒1粒に出汁の風味をほんのり効かせた上物です。いかん、これは酒が進む……。
不意に湧いた肉モードを満たすため、次は九州産黒毛和牛の三角バラを使った「和牛たたきポン酢」(1,430円)をオーダー。万全の温度管理で脂の旨味を全体に回し、官能的な舌触りを生む手並みはさすがの一言でした。
これら逸品に後ろ髪引かれつつ、いよいよ本命のもつ鍋とご対面。九州しょうゆ味・胡麻みそ味・芳醇辛味噌味・麻辣辛味噌味から、今日は芳醇辛味噌を選んでみました(各1人前1,620円)。
「六花舎」のもつ鍋は、4種類とも華味鳥で取ったガラとアゴだしのダブルスープがベース。和の要素を巧みに配合し、パンチのある風味の中にもスッと舌に馴染む“綺麗さ”を生んでいます。さらにこの辛味噌味は、ガラを取る際に出た鶏油(チーユ)で唐辛子を炒めた自家製スパイス「六花唐」や、韓国産辛味噌などを加えて辛さをアップ。甘味や酸味のバランスが絶妙な、じんわりした旨辛さがより完成度を引き上げていました。
ひと噛みすると、文字通り溶けてしまうモツも特筆ものの品質。仕入れ先を探して南九州を駆け巡り、ようやく出会った信頼できる精肉店から卸してもらう逸品です。また、この鍋のキーポイントの一つであるゴボウの使い方も洒落ています。客に提供する直前、打ち粉をしてカラッと揚げたゴボウを乗せることで、スープのコクや食感をいっそう際立たせるのです。
聞けば聞くほど、惜しみない工夫と熱意に頭が下がる絶品鍋。これを考案した代表の行友宗敏さんに経緯を聞くと「僕自身もつ鍋が大好きで、ずっと趣味で研究してたんです。やがて自信を持てるスープが完成し、この鍋で僕らがどこまで行けるか挑戦したいなって」。もっともっと美味しくなるのでは……と研究はいまなお続き、すでに4回はレシピを変えているそうです。
「好き」を原動力に進化を続ける「六花舎」。すでに成熟しきったかに見えるもつ鍋という博多グルメを、次のレベルに引き上げるのはこんな店かもしれません。
ジャンル:もつ鍋
住所:福岡市博多区博多駅前4-13-27グランドハイツ博多1F
電話番号:092-433-3696
営業時間:12:00~OS14:00/17:00~OS21:30(金・土曜は0S22:30、日・祝日は夜営業のみ)
定休日:不定
席数:カウンター2席、テーブル22席
個室:3~5名
メニュー:もつ鍋(九州しょうゆ味、胡麻みそ味、芳醇辛味噌味、麻辣辛味噌味)1人前1,628円、和牛たたきポン酢1,430円、自家製明太子880円、胡麻かんぱち935円、手作りチーズ豆腐638円 ランチ/スパイシーチキンキーマカレー、スパイスチキンカレー各900円(※平日のみ。土・日・祝はもつ鍋を提供)
URL:https://roccasha.com
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