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ママの体重が3世代の健康にまで影響!? 「低出生体重児」のリスクと原因を知って、妊娠前から対策を!

低体重の赤ちゃんは、成長してからの生活習慣病発症リスクが高い?

出生体重が低いと、虚血性心疾患、本態性高血圧症、メタボリックシンドローム、糖尿病のような生活習慣病発症のリスクが高くなることが分かってきました。
これは、特にアメリカで研究が進んでいる「DOHaD説(生活習慣病胎児期発症起源説)」と呼ばれるもので、“胎児期や生後直後の健康・栄養状態が、成人になってからの健康に影響を及ぼす”という考え方です。

「DOHaD説」のメカニズムは次の通りです。
  1. お母さんの胎内にいるとき低栄養状態で育った胎児は、飢餓状態で生まれてしまう
  2. 栄養をできるだけ維持しようと倹約型(エネルギーをためこみやすい)体質になる
  3. 生後、十分な栄養を与えられると過剰と感じ、肥満になりやすい
 
このような母体の栄養不足によって引き起こされる赤ちゃんへの影響は、なんと3世代先まで続くと言われています…。

低出生体重児とは?

新生児は、出生時の体重により以下の3つに分類されます。
低出生体重児:2500g未満
正出生体重児:2500g以上4000g未満
高出生体重児:4000g以上

出生体重が2500g 未満の赤ちゃんが低出生体重児です。
日本では、1年に生まれる赤ちゃんのうち10人に1人が低出生体重児であることが分かっており、これは先進国の中でも多い数字です。

なぜ低出生体重児になってしまうの?

低出生体重児が生まれる原因はさまざまですが、最近は若い女性の痩せの割合が増えていることも原因の1つと考えられています。
痩せ傾向のお母さんは、妊娠しても体重増加が少なく、胎児の成育に必要な栄養が不足しがちになってしまいます。そのため、胎児が低出生体重児となる頻度が高まっている可能性があるというのです。

妊娠中の望ましい体重増加量は?

妊婦の理想的な体重増加量は、妊娠前のBMIによって異なります。
BMIとは、体格の指標となる数値のこと。次の計算で求められます。
BMI(体格の指標)=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)

母体の体重増加量が少なすぎると、低出生体重児だけでなく、切迫流産や切迫早産のリスクが高まります。一方で、体重増加量が多すぎると、妊娠高血圧症候群、巨大児分娩などのリスクが高まります。
まずは、次の目安を参考に、自分に必要な体重の増加量を知りましょう!
〈妊娠前の体格:体重増加量目安〉 BMI18.5未満(低体重): 12~15㎏増
BMI18.5~25.0未満(標準):10~13㎏増
BMI25.0~30.0未満(肥満1度):7~10㎏増
BMI30.0以上(肥満2度):個別対応(上限5㎏増までが目安)

「妊娠中の体重増加指導の目安」(令和3年3月8日日本産科婦人 科学会)参考
※個人差もあるため、医師とご相談ください。

妊産婦のための食生活指針10カ条!

妊産婦を取り巻く社会状況などの変化を反映し、2021年3月に厚生労働省から、『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 ~妊娠前から健康なからだづくりを~』が公表されています。妊娠前、妊娠中、身近に妊婦さんがいる方など、全ての方に知っておいていただきたい10カ条です。ぜひ、チェックしてみてください。
  1. 妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう
  2. 「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
  3. 不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと
  4. 「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に
  5. 乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に
  6. 妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
  7. 母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
  8. 無理なくからだを動かしましょう
  9. たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
  10. お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから
 
妊娠~出産は、周囲のサポートがなくてはならないものです。お母さんだけでなくご家族、行政のサポートも上手く利用し、みんなで楽しく子育てをしていきたいですね!

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