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なかなか治らない咳の要因と対処法は?まず把握すべきは「どの状況で咳が出るのか」

コロナ禍で、普段以上に咳エチケットに敏感な中、急に出てしまう咳やスッキリ止まらない咳に悩まされている人はいませんか?
咳は医療機関や薬局などで相談される症状の中で、最も多い訴えの一つです。
とりあえず、対症療法として咳止め薬などを服用することが多いかもしれません。しかし、服用中はよくても、時間がたったり、環境が変わったりすると、また咳が出はじめることがあるという人は、たとえ軽めの咳でも、その原因をきちんと把握しておくことが大切です。  

どんな状況からくる咳か

まずは、何が原因で咳が出ているのか、状況ごとに考えられる要因いくつかあげてみたいと思います。

風邪やコロナにかかった後に長引く咳

こうした咳は「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」と呼ばれています。感染症が治癒した後も、咳を起こす神経が活性化されたままの状態が続いていることが、主な原因です。
このタイプは、しばらくの間は軽い刺激でも咳が出ますが、徐々に気道の粘膜が修復され、数週間から1か月前後で、自然に咳が治まってきます。
ただし、感染後に「咳喘息(せきぜんそく)」などを誘発しているケースもあるため、その後も咳が続く場合は注意が必要です。

冷たい空気の場所、寒暖差のある場所、煙のある場所に近づいた時に出る咳/歌を歌ったり、長く喋り続けたりした時に出てしまう咳

スーパーなどで生鮮食品コーナーの近くに行くと咳が出る人、わずかなタバコや焼肉の煙などに反応して咳が出る人、カラオケで何曲か歌ったり、長く喋り続けたりすると、必ず途中で咳き込んでしまう人などは、気道過敏の症状が進行することで起こる「咳喘息」や「アトピー咳嗽」の可能性が考えられます。
この2つは非常に見分けにくいですが、「アトピー咳嗽」は、咳受容体が過剰に反応することで、普段は反応しないわずかな刺激でも咳が起こったり、喉にかゆみがあったりするのが特徴です。
「アトピー咳嗽」の場合は、咳喘息の治療に用いられる気管支拡張剤は効果がなく、抗ヒスタミン薬等のアレルギーの薬が効果的だと言われています。
また、会話中に出る咳などは、他の病気が原因になっている可能性もあります。

夜になると出る咳/横になると(寝ると)出る咳

夜になると咳がよく出るという場合は、呼吸や体温を調節する〝自律神経のバランス″が大きく関与している可能性が大です。
自律神経には、日中優位な「交感神経」と、夜になると優位になる「副交感神経」があります。
「交感神経」は、活動的な昼間には運動に必要な酸素を多く取り込むため、気管支を拡張するよう働きます。一方、「副交感神経」は、夜になると気活動量が減るため気管支を収縮して狭くする働きがあります。
横になると、そこに気管支内の分泌物が入り込むことで刺激されたたり、より気管支が狭まる状態となり、さらに咳が出やすくなってしまいます。
また、夜間と日中の寒暖差がもたらす喉への刺激も咳の大きな要因となります。

過剰なストレスや緊張が続いたりすると出る咳

体には何も異常がないのに、咳が出てなかなか治らない人は、長期間ストレスを感じていたり、過剰なストレスが原因だったりすることもよくあります。
これは「心因性咳嗽」と呼ばれています。やや渇いた感じの咳で、何かに集中している時や、熟睡している時には、ほとんど出ることがないのが特徴です。
過度な緊張やストレスなどが原因で乱れた自律神経が、脳の咳中枢や気道の粘膜を刺激することで咳を誘発すると言われ、環境の変化や季節の変わり目などが、そのきっかけになりやすいと言われています。
適度な運動や、十分な睡眠・休養などによるストレスの緩和が、改善への近道です。

電車やバスなどの乗り物に乗ってしばらくすると出る咳

電車やバスなどに乗っていると咳が出はじめる人は、エアコンによる寒暖差、車内のほこり、空気の乾燥等に反応して気道が炎症を起こし、過敏になったり狭くなったりすることが原因だと考えられます
これが頻繁に起こるようなら、すでに「咳喘息」になっている恐れもあります。
あるいは、「このコロナ禍で周りにたくさんの人がいる中、咳込んだらどうしょう…」というプレッシャーや緊張からくるストレスが、咳の原因になっている場合もあります。

食事をした後や朝起きてすぐ、または、前かがみや猫背になっている時に出る咳

このような状況で出る咳は、「逆流性食道炎」等の症状で上がってきた胃酸が、食道の下部にある神経を刺激したり、その上にある喉を直接刺激したりして起きている可能性が考えられます。
胸やけなどの症状を伴うこともあり、治療には食生活や日頃の姿勢の改善、胃酸分泌を抑制する薬の服用などが必要です。

時々、鼻の奥に流れるような感じの痰(たん)を伴う咳

副鼻腔炎や後鼻漏(こうびろう:過剰に分泌された鼻水が喉まで流れ落ちてくる状態)などの症状がきっかけとなって、鼻汁(びじゅう)が喉の方に流れ落ちてしまうことにより、気道を刺激して起こる咳です。「副鼻腔気管支症候群」とも言われています。
副鼻腔気管支症候群は、気管の表面にある痰や異物を運び出す繊毛の、何らかの異常が原因だと考えられており、1日を通してずっと咳が出ることもあります。
やや時間を要しますが、まずは抗生剤などを中心とした、鼻の症状の治療をするのが先決です。

原因は複数ある可能性も。思い当たることがあれば早めの対策を!

他にも咳には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎、肺結核、肺がんなどの病気の影響によって起こっているものや、薬の副作用によるものなど、さまざまな要因が考えられます。
また長引く咳の原因は1つに限らず、いくつかの状況や複数の疾患が関わっている可能性も十分あります。
もし、今まで述べてきたような〝咳が出る時の状況″が「複数思い当たる、あるいは、どれも当てはまるような気がして原因が何なのかはっきりしない」と感じる時は、それぞれの状況に応じ、症状の緩和や改善につながる対策を、早めに行っていくことが重要です。
次回は、咳の原因を探る手掛かりと、その対策についてお話します。
 

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