PageTopButton

半円形のカウンターで職人技を味わう、小バコの寿司店

UMAGA

以前UMAGAでも紹介した寿司職人・中牟田幸仁さんの店「鮨 幸仁」がついに開店。実兄である中牟田太仁さんが営む「食と酒 なかむた」での間借り営業を経て、昨年12月15日にオープンしました。
西中洲の「河庄」で寿司職人の修業に入り、シーホーク・ヒルトンの寿司割烹「ともづな」の料理長まで務めた中牟田さん。「なかなか良い物件に出会えず、時間がかかりました」と、2年程の準備期間を経て開業した店舗は薬院駅から平尾駅へと向かう西鉄大牟田線の高架沿いにある小さな2階建てで、奇しくも「なかむた」のすぐ近く。松の内が明けた頃に開業のお祝いを兼ねて、初訪問しました。

鮨幸仁外観

白い暖簾をくぐると、真新しい店内には清々しい木の香りが漂っています。杉板に囲まれたこぢんまりとしたスペースは、半円形のカウンターに8席というミニマムな造り。この形のカウンターは筆者が知る限りもう1軒でしか見たことがありませんが、店舗デザイナーと何度も打ち合わせを重ねた結果、効率よくすべての客に目が届く配置だそうです。客席からの目線でもつけ場との距離感が近く、大将が目の前で寿司を握る臨場感が味わえます。

鮨幸仁店内

カウンターの木材は銀杏の古木から曲線をつけて切り出したもの。銀杏は昔から抗菌作用があるといわれており、端材はまな板や寿司を乗せる木皿に加工することで、貴重な木材を余すところなく使っています。壁には佐賀県七山村で手漉きされた和紙が貼られ、随所に職人の手仕事が息づいています。

幸仁のゲソと水菜のおひたし 幸仁のあん肝の旨煮、煮ダコ、つぼみ菜

料理は昼夜ともに「おまかせコース」(昼6,000円・夜15,000円)のみ。昼は小鉢・茶碗蒸し・握り10貫・赤出汁・デザート、夜は季節の一品料理4品に握り12貫・赤出汁・デザートという内容です。
まず冒頭に出てきたのは、「ゲソと水菜のおひたし」と「あん肝の旨煮、煮ダコ、つぼみ菜」の盛り合わせ。いずれも飾り気のない小品ながら、素材の味を引き出す丁寧な仕事を感じることができました。

幸仁のコハダ 幸仁のヤリイカ

寿司ネタは早朝から柳橋連合市場に出向き、「早い者勝ちということもあるので、なるべく良いものを選んでいます」と、馴染みの仲買から買い付けています。さらに「寿司は仕込みが命」というように2階の一部を仕込み用の厨房にして丁寧な下準備を施し、客の目の前で握られるのは見目麗しい一貫一貫。コハダは絶妙の塩梅で締められ、綺麗に包丁が入れられたヤリイカはモチモチとした食感が官能的です。

幸仁の車海老 幸仁のアジ

小ぶりに握ったシャリには2~3年寝かせた古米を使うことで、程よい歯ごたえと口の中でハラりと解ける心地よさがあります。旨味の強い熊本産の車エビ、上質な脂がのった上五島産のアジといった個性的なネタをしっかりと受けとめ、完成度の高い一貫に仕上げています。

幸仁の本マグロ 幸仁のキンメダイ

長崎産の本マグロはキメが細かい背トロの部分を選び、キンメダイは千葉産を使うなど、毎日の仕入れでネタの産地から部位までを厳選。握られる順番も起伏に富んでおり、あっという間にフィニッシュまで行きついてしまいます。「もう少し食べたい」と思わせるところで余韻を感じつつ、サクッと締めるのが粋というもの。季節を変えての再訪を誓って、店を後にしました。

幸仁店主入り店内

まだオープン間もなく仕込みから営業までほぼ一人で切り盛りしていますが、ゆくゆくは2階に個室を造る構想もあるそう。博多寿司の新境地を開く職人技が味わえる、期待の新店です。

《鮨 幸仁/こうじ》
福岡市中央区平尾1-8-4
092-600-4196

店舗名:鮨 幸仁(こうじ)
ジャンル:寿司
住所:福岡市中央区平尾1-8-4
電話番号:092-600-4196
営業時間:12:00~14:00/18:00~22:00
定休日:不定
席数:カウンター8席
個室:なし
メニュー:昼のコース6,000円、夜のコース15,000円

URL:https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40062305/

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

radiko 防災ムービー「いつでも、どこでも、安心を手のひらに。」

この記事を書いたひと

UMAGA

homePagefacebookyoutubexinstagram

魅力的な福岡の食文化をもっと楽しんでいただくためのバイブルとして、厳選した信頼性のある情報を毎日更新中。