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ミシュラン一つ星「ニシムラ・タカヒト」に24歳のシェフが就任!

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2017年の開業以来、南区平和の一軒家で斬新な創作コースを提供する「Nishimura Takahito La cuisine creativite」。オーナーシェフ・西村貴仁さんの技巧と知識が生むジャンルレスな美味はまさに唯一無二です。昼間のみ営業するラーメン業態「ニシムラ麺」も大好評。
しかし先日、この名店を揺るがす(?)噂を耳にしました。なんと今年の2月から、西村さんに代わって新しいシェフが腕を振るっているのです。あの「Nishimura」で、一体何が起きているのでしょう?

ニシムラ外観 ニシムラ個室

久しぶりに訪れた「Nishimura」は、相変わらず心なごむ温かな空間です。15品前後で構成するコースの豪華さも以前のままで、変化といえば最近やや軽め(と言っても12品!)の8,800円コースが追加されたくらい。となれば、やはりシェフ交代劇の理由が気になります。

それは、今春から西村さんが韓国にできる新店舗に常駐するから。以前より様々な飲食店コラボや料理監修を行ってきた西村さんの、次なる挑戦の場がソウルなのです。当初は本店ごと移転の計画もありましたが、ある出会いが店の運命を変えることになります。

ニシムラ増永シェフ 店舗より提供

その相手こそ、新任シェフの増永琉聖さん。スラッとした立ち姿の職人は、まだ24歳の若さです。小学生の頃から料理に興味を抱き、やがて「オーグードゥジュール・メルヴェイユ博多」で研鑽。さらに故郷・佐賀の人気ホテル「アリタハウス」へ移ると、2年後には料理長を任されます。
西村さんと増永さんは、その頃に出会って意気投合。2人の共通点である、“一途な料理愛と柔軟な発想力”が縁を結んだのでしょう。「彼になら〈Nishimura〉を託せる」と確信した西村さんに誘われ、増永さんは新たなキャリアを歩み始めました。
「西村シェフの築いた世界観を崩さず、どれだけ自分の色を加えられるか。プレッシャーより、そちらの楽しみの方が大きいですね」と増永さんが微笑みます。

ニシムラ料理1 ニシムラ料理2

「料理の内容は自由に決めて」と、西村さんがすべてを委ねる増永さん。その実力は、この夜の13,200円コースにも色濃く現れていました。和洋中の食材や調味料を自在に操り、優しめな味に仕上げた品々は、どれも万華鏡のような輝きを秘めています。
例えば、グリーンピース風の球体が乗った5品目。これは丸くくり抜いたキュウリで、みずみずしい歯触りや香りが鮮烈でした。底にはアジとキュウリのヘーゼルナッツ味噌和えを敷き、「洋風なめろう」とも呼ぶべき趣を与えています。
7品目は、九州では珍しい千葉産のクリガニ。独特の締まった身に、ライムやスパイス類などで仕立てたエスニックソースを絡め、パンに乗せてサクッといただきました。

ニシムラ料理3 ニシムラ料理4

黒米やオクラとともにソテーした、9品目の鮑はなんとも芳醇な香り。ほうじ茶で溶いた海苔とトリュフのソースが抜群の高級感を醸します。こうした食べ応えある料理を挟みつつ、コースの緩急をつける手際にも隙がありません。
続く10品目は、西村さんが得意とする「全粒粉の素麺を使ったカッペリーニ」の増永シェフ版。極甘な佐賀産フルーツトマトと、車海老の取り合わせが爽快な後味を生んでいます。

ニシムラ料理5 ニシムラ料理6

金目鯛で取った出汁に、その白身を浮かべた綺麗なスープも絶品です。決め手はアンチョビや納豆などを澄ませて取った、発酵調味料の奥深い旨味と香り。飲み干すのが惜しい滋味の塊でした。
そしてデザート前の締めは、定番の自家製ラーメン。この日は椎茸&トリュフのスープと「製麺屋 慶史」謹製のライ麦麺が供され、華のある食事に完璧な余韻を残してくれました。

ニシムラシェフ3

従来の安定感に、若きシェフの勢いや繊細さを加味した“新生Nishimura”のコース。それは事前の期待を余裕で超えるクオリティでした。
「料理の引き算の技法など、西村シェフにはもっと学びたいですね」と増永さんも意気盛ん。「毎日いろんな課題に直面しますが、それを一つずつ乗り越えるのが楽しくて」。この飽くなき情熱は、若きシェフをどんな地平ヘ導くのでしょうか。
6月には「ザ・リッツ・カールトン福岡」内に、バルスタイルの「西村や」出店も控える「Nishimura」。ここへ来て、ますます目が離せない存在になっています。

店舗名:Nishimura Takahito La cuisine creativite(ニシムラ・タカヒト・ラ・キュイジーヌ・クリアテビィテ)
ジャンル:フランス料理
住所:福岡市南区平和2-5-29
電話番号:092-526-3153 (前日までに要予約)
営業時間:11:30~13:30(ニシムラ麺)/18:00~22:00頃
定休日:不定
席数:テーブル12席
個室:2~6名
メニュー:ディナーコース8,800円、13,200円・17,600円・23,000円・33,000円 ※サービス料10%
URL:http://nishimura-takahito.com

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この記事を書いたひと

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