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薄さ0.8mm!次世代の屋根

東京ドームや博多駅の屋根、実は長崎県松浦市でつくられている!
どんな大きさでも薄さはわずか0.8mm。建物の形に合わせてカットでき、なんと丸めて持ち運べる。鉄骨屋根の10分の1未満の軽さなのに、強度はコンクリート並みという驚異の屋根だ。材料はフライパンの表面加工などでおなじみの「フッ素」の樹脂。手掛けているのは、日本で唯一フッ素樹脂膜を製造する、松浦市の中興化成工業(本社・東京都)だ。

フッ素樹脂を重ねるほどに、熱や紫外線に強く、表面についた埃や大気の汚れなどを落とす性能も上がるのだが、はじく性質があるフッ素同士を重ね塗りするのにはかなりの技術が必要となる。その技術を操るのが、開発担当の山口雄斗さん(34)だ。「上を見上げたくなるような屋根を作りたい」という山口さん。今は、天井を開け閉めせずともほどよく光が入る「スタジアムの天然芝を育てやすい屋根」を作るべく、布の織り方から考えている。中興化成工業の屋根は、福島の幼稚園では「災害にも強い屋根」、長崎市では、新たな顔となる「新幹線駅舎の屋根」にも採用された。

そして今、驚異の屋根は、私たちに身近な家電のある部分にも活用するべく研究が進んでいる!
中興化成工業(ちゅうこうかせいこうぎょう)
住所:長崎県松浦市調川町平尾免字潮入200(本社・東京都)
連絡先:0956-73-0418
HP:https://www.chukoh.co.jp/

取材後記

普段なかなか意識したことがなかった屋根。
東京ドームをはじめ長崎駅も、全て同じ素材であることを聞いて驚きました。「あんなに広くても、本当に薄さ1mmないんですよね?」と何度も確認してしまいました。

単なる“雨よけ”ではなく“屋根”として活躍し、福島の幼稚園では“子どもたちの避難場所”となるなど、元々想定されていた使い方から広がりを見せていました。建て替えも検討されている東京ドームでは、骨組みは少し老朽化しつつあるものの、一方の屋根は30年経った今も健在だそうです。重ねれば重ねるほど万能になっていくふっ素樹脂の可能性を感じました。

若くして技術開発を担う山口さんがしきりに“見上げたくなるような屋根を作りたい”と仰っていたことが印象的でした。“スタジアムの芝生を育てやすい屋根”に続く、ユニークな屋根が登場するのが楽しみです!

(NBC長崎放送 大保さやか)

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