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モォ~すぐ生まれるよ! 牛の出産を予知する魔法の体温計

別府市の株式会社リモートが開発・販売している、牛の出産時期を遠隔監視できるシステム「牛温恵」(ぎゅうおんけい)。
元農家で牛を飼った経験のある宇都宮茂夫さん(61)が開発した牛の体温計だ。
出産予定日が近づいた牛の膣にセンサーを入れ、体温変化を監視センターで集中管理する。このシステムは、牛の体温が出産の24時間ほど前になると下がる点に着目し、体温が下がると畜産家の携帯に「出産間近」のメールが送信されるようになっている。

経験だけが頼りの牛の出産は、予定日をはさんで前後10日ほどのズレがあり、畜産家は約20日もの間、一頭の牛に拘束される。もし死産になった場合、財政的にも精神的にもかなりの損失を負うことになる。更に1戸当たりの飼育頭数は増加傾向にあり、目が届きにくくなっている。そうした課題を解決するため、県畜産試験場、県産業科学技術センターと共同でこのシステムを開発した。
肝心のセンサーは比較的スムーズに開発できたが、そのセンサーを膣にとどめるストッパーに大苦戦。

「IT」と「牛飼い」2つの脳を持つ宇都宮さんが挑む、「分娩事故“ゼロ”への挑戦!」を追った。
株式会社リモート
〒874-0011 大分県別府市大字内かまど1714番地
Tel:0977-85-8700 Fax:0977-85-8701
その他の情報 http://www.remote.co.jp

取材後記

今回のテーマは、大分県別府市の株式会社リモートが開発したシステム「モバイル牛温恵」。出産間近の牛の体内に体温センサーを装着し、体温を測定。そのデータを元に、分娩24時間前や破水したことをメールで知らせるというシステムです。開発者の宇都宮さんは農家の長男で、20代のころ30頭ほどの牛を飼っていました。その際味わった「分娩事故の恐怖」と、農業を離れたあと勤務した半導体関連の会社で培ったノウハウを融合させ、畜産業界が昔から抱える「分娩事故」という問題に立ち向かえるシステムを開発しました。

今の家畜牛は、改良などで出産時の子牛の体重が昔に比べて重くなっており、自然分娩は難しいケースが多いそうです。そのため、分娩事故は増加傾向にあると言われています。だからこそ、この「モバイル牛温恵」を使えば、出産に立ち会うことができ、分娩事故は確実に減らせます。

今回、「モバイル牛温恵」を使っている畜産農家さんを何件か取材したのですが、分娩事故防止だけでなく、安心して外出や睡眠が取れると言っていました。「モバイル牛温恵」は、牛の命を救うだけではなく、畜産家のQOLの向上にも一役買っている、本当に画期的なシステムなんだと実感しました。牛を飼った経験がある宇都宮さんだからこそ、「畜産家のかゆい所に手が届くシステム」が開発できたんだろうと思いました。牛の出産に立ち会えたことも、大変貴重な経験になりました。
担当 OBS 大分放送 渕野 かおり

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