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豚骨こそが最強 この一杯で証明する

暮らし

豚骨はご当地ラーメン最強 その気持ちをこの一杯に表現

全国津々浦々に独自の食文化がある。そしてその数だけ、ご当地ラーメンの数も存在する。「その中でも博多ラーメンが最強だと信じてきました。それを証明するのが、一双だと思っています」。店主・山田晶仁さんは、そう言葉に力を込めた。

「博多=豚骨ラーメン」というイメージは日本全国に知れ渡っている。福岡に観光にやってきて、滞在中に豚骨ラーメンを一度も食べないという人は稀だろう。日本人だけではない。今や博多の豚骨ラーメンは世界に知られる存在だ。「先輩たちが築いてきた豚骨ラーメンという金看板を、僕らの作る一杯で不動のものにしない。博多の豚骨はどこにも負けない。その思いをこの一杯を通してぶつけていきたいんです」。目の前に差し出された、表面に泡をまとったラーメンからは、豊かな豚骨の香りが立ち上る。そのまま深呼吸するように勢いよく香りを吸い込むと、まるでスープを飲んだかのようなフレーバーが鼻腔を抜けた。この明快で、力強い豚骨の風味が、食欲に火を付ける。泡ごとスープをレンゲにすくい、口元へ。思わず目を見開く。まさに"豚骨カプチーノ"。この泡のクリーミーな感触が実に心地いい。忘れられない一杯になる。

味、密度、そして泡で豚骨の可能性を追求

創業以来、豚骨の味と密度、そして泡、この3つのバランスを徹底的に追求してきた晶仁さん。「豚の骨と水、原料はこれだけ。それなのに、博多を見渡しても二つとして同じ豚骨スープがないんです。それが豚骨の面白さ」と目を輝かせた。煮込む時間や濃度の異なる3つの寸胴を駆使し、スープの状態を見ながら、都度、ブレンドすることで、常に一定のクオリティを保つ。表面に浮かぶ泡は、豚の骨を釜の中でかき混ぜながら乳化させる際、空気を含むことで生じたもの。豚の骨だけを強い火力で炊き出すという、ピュアなスープである証だ。いまではこの泡は"豚骨カプチーノ"と親しまれ、一双の代名詞となった。真っ直ぐな思いに情熱が重なると、ふわふわとやわらかくなるのだと思い知った。

スープは高濃度ながら後味にキレがあり、食後に心地よい余韻が残る

麺は「製麺屋 慶史」による特注の平打ち細ストレート。濃密な豚骨スープとの絡みがよく、替玉率も高い

丼の絵柄には筑前織物の伝統工芸士が手掛けた博多織の献上柄を採用。屋号の文字は日展会友の本松嶽仙氏によるもの。博多らしい柄がラーメンを引き立てる

開業から8年。今では豚骨ラーメンの聖地・博多で確固たる地位を不動のものとした「博多一双」。そして、来店客による行楽シーズンにおける「博多駅東本店」の行列も、すっかり風物詩となった。最長でその距離、200メートル以上。先頭からは最後尾が見えないほどだ。

年間を通じて最も来客が集中するGWの様子。200人超えは圧巻だが、スタッフの連携と高い調理技術により、提供スピードも恐ろしく早く、回転は早い

その原動力は、もちろんラーメンの味に他ならないが、例えば女性でも気軽に足を運べる空間づくり、スタッフの気持ちのいい挨拶もまた、一双の人気を支える大切な要素だ。とりわけスタッフに対して、山田さんは強い感謝の思いを抱いている。「仲間がいてくれたからこそ、今があります。店長同士が『うちのやり方で作ったほうがおいしい』と競い合うなど、日々、切磋琢磨しています。また、スタッフだけで話し合い、メニュー化したまかない丼がヒットしたという事例もあります。僕は本当に恵まれています」。

創業以来、勝ちにこだわってきた晶仁さん。その合言葉は日本一。ビジョンが明確だからこそ、ブレない。一双のラーメンは、これからまだまだ美味しくなる。

店舗情報

店名 博多一双 博多駅東本店
住所 福岡市博多区博多駅東3-1-6
電話番号 092-472-7739
営業時間 11:00~24:00 ※麺、スープが無くなり次第終了
定休日 不定
座席数 21席
駐車場 なし
カード 不可

※この記事は、シティ情報ふくおかの『麺本2020』より抜粋して掲載しています。
≫ 福岡の街の情報盛りだくさん「ふくおかナビ」

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