~RKBラジオ 弓削聞平スマイルディッシュ(毎週金曜午後6時45分~)より~
飲食店がひしめき、全国の食通が注目する街・福岡。この街で、食を通して人々に笑顔を与えている、料理人やソムリエたちをゲストに迎え、ここ10年でのべ1万軒外食している弓削聞平と、世界中の食を語れるアナウンサーになりたい田中みずきの2人が、彼らの情熱の源に迫ります。
ここ十数年でかなり変貌を遂げている福岡市中央区大名。
天神に隣接し人通りも多く、そのぶん家賃も高い福岡の中心地です。
近年では東京の大手飲食店も軒を連ねるようになってきましたが「入れ替わりも激しい、新陳代謝が早い街」と弓削さんはいいます。
そんな大名で焼鳥屋さんを4軒経営する谷脇眞剛(まさたか)さんが今回のゲストです。
弓削さんと田中アナが訪ねたのは「大名へて」本店。カウンターとテーブル4つの30席くらいの店内です。
「とても人気のお店で、毎日お忙しいでしょう?他の店舗はどんなかんじなんですか?」
と田中アナが話を切り出します。
「隣にある2号店が60席、斜め前にある3号店が20席くらいです。どの店も焼鳥がメインですが、少しずつサイドメニューが変わってきます。もともと長州赤鶏を使った焼鳥ですが、他にもいろんな鶏を使うので『地鶏と酉 大名へて』いう名前をつけたのが本店です。鶏専門店として焼鳥にこだわりがあるのはもちろん、いろんな鶏を楽しんでもらえるために工夫しています」と谷脇さん。酒屋さんとコラボして全国の日本酒が揃っているのもウリです。
ところで店名の「へて」とはどういう意味なのでしょう?気になりますよね?
「何々を『経て』という意味なんです。私もいろんな経験を経てこの店を出せたっていうのと、お客さまにもこの店を経て次の日の活力にしてもらえたらなと、そういった意味も含めてつけました」
学生のころから飲食店でバイトしていた谷脇さんには「30歳で自分の店を持つぞ!」という大きな夢があったそうです。が、24~27歳で自動車販売の営業を経験したといいます。
「輸入車ディーラーの幹部の方とご縁があって、仕事のお誘いがありました。ずっと断っていたんですが、実績を残して自分の経験になったと思ったら、また飲食に戻ればいいじゃないかって、1年くらい説得されました」
結局、谷脇さんは「営業トップを取ったら辞めます!」と、たんかを切って入社。そして、その目標を早くも2年で達成するのです。すごい!
「最初の1年はかなり苦労しましたが、一刻も早く飲食業に戻りたくて(笑)、がむしゃらに前しか見てない感じでしたね」と当時を振り返る谷脇さん、その経験が自信にも繋がったと話します。
弓削さんも「飲食もサービス業ですからね。違うジャンルでお客さんの対応を経験するというのは、必ずいい勉強になっていると思いますよ」と言葉をかけます。
「何事にも無駄はないですね」と田中アナも納得です。
その後、飲食の世界に戻り、料理をメインに再び修行を積んだ谷脇さん。
ほぼ目標の31歳で独立しますが、オープン当初は客足も少なくスタッフみんなで呼び込みもしたそうです。
「めげるタイミングは何回もあったんじゃないかなと思います。だけど楽しいことなんで、辞めるという考えは全く出てこないですねー(笑)」
「どういうところがどんな風に楽しいのですかー?」
という田中アナの質問に、
「お客さまが来店されて、お帰りになるまでに、全てが一旦完結するっていうのが、飲食業の楽しいことじゃないかなと思っています」
営業マンの経験を持つ谷脇さんは、話をこう続けます。
「お客さまに満足して頂けなかったら、多分それでもう来ていただくことはなくて、こちらからやり直すっていうこともできません。来ていただいた時間の中で楽しかったか、また行くかどうかをお客さまが判断します。車の商談のように何回もお会いして契約し、その後もアフターフォローが続いていくという付き合い方じゃないんですよ。飲食店というのはその日その日なんです」
嫌なことを"へて"店に来るお客さま。
楽しいことがあって「へて」を選んでくれるお客さま。
それぞれの方がいろんなタイミングで店にやってきて、その雰囲気やお連れさんとどんな感じで乾杯しているのかなと。料理をテーブルに出したら終わりではなくて、お客さまを見てどう対応するのかが、醍醐味なのだそうです。
そういえばと、弓削さん。
「谷脇さんのお店ってめっちゃ狭いエリアに4店舗出店してますよね?なかなか珍しいケースだと思いますけど、それはあえてそうしてるんですか?」
「もともと広範囲に店舗を展開していくというのは、あまり考えていませんでした。大名に出店したのは、私が若い頃から慣れ親しんだ街で店をやりたいなという思いがあったからなんです。最初の店が軌道にのって、ありがたいことに、お客さまがこれ以上入れなくなったという時に、自然な流れで新店舗を作ってきたらそうなりました」
お店を拡張する感じで2店舗・3店舗と本店に隣接するように増えたんですね。
弓削さんのおっしゃるようにこれはなかなか珍しいケースです。
中アナもここへ来る途中、気になる看板が目についたそう。
「『焼鳥喫茶 大名へて』とありましたが、焼鳥と喫茶?ですか??」
「今回のコロナで昼間にお店を開けたかったのと、昼間に焼鳥っていうのは、なかなか根づいてないでしょう。福岡にそういう文化もないので、コロナをきっかけにしてピンチをチャンスにというわけでもないですが、新しい業態を作りたいと思いました」
夜と同じ焼鳥メニューに喫茶メニューも追加されているお店です。
「福岡に昼飲み文化を定着できるように、飲食業界が頑張って盛り上げていかないと!」
これからの展望も語ってくれた谷脇さん。さらに新しく取り組んだことがありました。
「コロナ自粛の時期、焼き鳥のデリバリーと合わせて、焼き台のレンタルをしていましたよねー」と弓削さん。
「はい。あれは多分ですけど、日本でうちの店が初めてじゃないかと思います(笑) 」
美味しく焼き上げた焼鳥を、持ち帰って食べた時にどうなのか、冷めた焼鳥をレンジで温め直して食べてみたそうです。
「ものすごく美味しくなかったんですよー。それが店の味って思われるのも残念ですし(笑)、家でも美味しく食べてもらいたいなと考えました」
焼き台のレンタル料は200円。補償金2000円は返却時に戻ってきますが、もし気に入ったらそのまま、買い取ることができるシステムです。
「大半の方がそのまま購入ってかんじでした」と話す谷脇さんに、
「それは皆さんの家庭に良い環境を提供しましたねー」と弓削さんも感心します。
最後に、これから飲食業を目指す方達に向けて谷脇さんからメッセージをいただきました。
「飲食業はなかなか大変と思われている感が昔からありますし、今回のコロナでも大変な思いをしている業界でもあります。でも何より好きな気持ちっていうのを大事に持ち続けてトライしていけば、独立したあとに大変なことがあったとしても、楽しく前向きに乗り越えられるんじゃないかなと思います。また、そういう人たちがどんどん飲食業界を盛り上げたら、必然的に全体が盛り上がって、結果的に楽しい業界になっていくんじゃないかなと。諦めずに夢を叶えて欲しいなと思います」
と力強い言葉を残してくれました。
RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」番組公式Twitter @rkbyuge
2020年12月放送
大名へて #弓削聞平 #田中みずき
ライタープロフィール:本田淑子
フードディレクター
食の企画あれこれ。魚食を盛り上げる「サカナグミ」や子ども達と一緒に料理を楽しむ
「放課後ゴハン倶楽部」なども主催。https://www.plantecook.com
RKBラジオ「スマイルディッシュ」は2021年3月で終了いたしました
飲食店がひしめき、全国の食通が注目する街・福岡。この街で、食を通して人々に笑顔を与えている、料理人やソムリエたちをゲストに迎え、ここ10年でのべ1万軒外食している弓削聞平と、世界中の食を語れるアナウンサーになりたい田中みずきの2人が、彼らの情熱の源に迫ります。
ここ十数年でかなり変貌を遂げている福岡市中央区大名。
天神に隣接し人通りも多く、そのぶん家賃も高い福岡の中心地です。
近年では東京の大手飲食店も軒を連ねるようになってきましたが「入れ替わりも激しい、新陳代謝が早い街」と弓削さんはいいます。
そんな大名で焼鳥屋さんを4軒経営する谷脇眞剛(まさたか)さんが今回のゲストです。
弓削さんと田中アナが訪ねたのは「大名へて」本店。カウンターとテーブル4つの30席くらいの店内です。
「とても人気のお店で、毎日お忙しいでしょう?他の店舗はどんなかんじなんですか?」
と田中アナが話を切り出します。
「隣にある2号店が60席、斜め前にある3号店が20席くらいです。どの店も焼鳥がメインですが、少しずつサイドメニューが変わってきます。もともと長州赤鶏を使った焼鳥ですが、他にもいろんな鶏を使うので『地鶏と酉 大名へて』いう名前をつけたのが本店です。鶏専門店として焼鳥にこだわりがあるのはもちろん、いろんな鶏を楽しんでもらえるために工夫しています」と谷脇さん。酒屋さんとコラボして全国の日本酒が揃っているのもウリです。
ところで店名の「へて」とはどういう意味なのでしょう?気になりますよね?
「何々を『経て』という意味なんです。私もいろんな経験を経てこの店を出せたっていうのと、お客さまにもこの店を経て次の日の活力にしてもらえたらなと、そういった意味も含めてつけました」
学生のころから飲食店でバイトしていた谷脇さんには「30歳で自分の店を持つぞ!」という大きな夢があったそうです。が、24~27歳で自動車販売の営業を経験したといいます。
「輸入車ディーラーの幹部の方とご縁があって、仕事のお誘いがありました。ずっと断っていたんですが、実績を残して自分の経験になったと思ったら、また飲食に戻ればいいじゃないかって、1年くらい説得されました」
結局、谷脇さんは「営業トップを取ったら辞めます!」と、たんかを切って入社。そして、その目標を早くも2年で達成するのです。すごい!
「最初の1年はかなり苦労しましたが、一刻も早く飲食業に戻りたくて(笑)、がむしゃらに前しか見てない感じでしたね」と当時を振り返る谷脇さん、その経験が自信にも繋がったと話します。
弓削さんも「飲食もサービス業ですからね。違うジャンルでお客さんの対応を経験するというのは、必ずいい勉強になっていると思いますよ」と言葉をかけます。
「何事にも無駄はないですね」と田中アナも納得です。
その後、飲食の世界に戻り、料理をメインに再び修行を積んだ谷脇さん。
ほぼ目標の31歳で独立しますが、オープン当初は客足も少なくスタッフみんなで呼び込みもしたそうです。
「めげるタイミングは何回もあったんじゃないかなと思います。だけど楽しいことなんで、辞めるという考えは全く出てこないですねー(笑)」
「どういうところがどんな風に楽しいのですかー?」
という田中アナの質問に、
「お客さまが来店されて、お帰りになるまでに、全てが一旦完結するっていうのが、飲食業の楽しいことじゃないかなと思っています」
営業マンの経験を持つ谷脇さんは、話をこう続けます。
「お客さまに満足して頂けなかったら、多分それでもう来ていただくことはなくて、こちらからやり直すっていうこともできません。来ていただいた時間の中で楽しかったか、また行くかどうかをお客さまが判断します。車の商談のように何回もお会いして契約し、その後もアフターフォローが続いていくという付き合い方じゃないんですよ。飲食店というのはその日その日なんです」
嫌なことを"へて"店に来るお客さま。
楽しいことがあって「へて」を選んでくれるお客さま。
それぞれの方がいろんなタイミングで店にやってきて、その雰囲気やお連れさんとどんな感じで乾杯しているのかなと。料理をテーブルに出したら終わりではなくて、お客さまを見てどう対応するのかが、醍醐味なのだそうです。
そういえばと、弓削さん。
「谷脇さんのお店ってめっちゃ狭いエリアに4店舗出店してますよね?なかなか珍しいケースだと思いますけど、それはあえてそうしてるんですか?」
「もともと広範囲に店舗を展開していくというのは、あまり考えていませんでした。大名に出店したのは、私が若い頃から慣れ親しんだ街で店をやりたいなという思いがあったからなんです。最初の店が軌道にのって、ありがたいことに、お客さまがこれ以上入れなくなったという時に、自然な流れで新店舗を作ってきたらそうなりました」
お店を拡張する感じで2店舗・3店舗と本店に隣接するように増えたんですね。
弓削さんのおっしゃるようにこれはなかなか珍しいケースです。
中アナもここへ来る途中、気になる看板が目についたそう。
「『焼鳥喫茶 大名へて』とありましたが、焼鳥と喫茶?ですか??」
「今回のコロナで昼間にお店を開けたかったのと、昼間に焼鳥っていうのは、なかなか根づいてないでしょう。福岡にそういう文化もないので、コロナをきっかけにしてピンチをチャンスにというわけでもないですが、新しい業態を作りたいと思いました」
夜と同じ焼鳥メニューに喫茶メニューも追加されているお店です。
「福岡に昼飲み文化を定着できるように、飲食業界が頑張って盛り上げていかないと!」
これからの展望も語ってくれた谷脇さん。さらに新しく取り組んだことがありました。
「コロナ自粛の時期、焼き鳥のデリバリーと合わせて、焼き台のレンタルをしていましたよねー」と弓削さん。
「はい。あれは多分ですけど、日本でうちの店が初めてじゃないかと思います(笑) 」
美味しく焼き上げた焼鳥を、持ち帰って食べた時にどうなのか、冷めた焼鳥をレンジで温め直して食べてみたそうです。
「ものすごく美味しくなかったんですよー。それが店の味って思われるのも残念ですし(笑)、家でも美味しく食べてもらいたいなと考えました」
焼き台のレンタル料は200円。補償金2000円は返却時に戻ってきますが、もし気に入ったらそのまま、買い取ることができるシステムです。
「大半の方がそのまま購入ってかんじでした」と話す谷脇さんに、
「それは皆さんの家庭に良い環境を提供しましたねー」と弓削さんも感心します。
最後に、これから飲食業を目指す方達に向けて谷脇さんからメッセージをいただきました。
「飲食業はなかなか大変と思われている感が昔からありますし、今回のコロナでも大変な思いをしている業界でもあります。でも何より好きな気持ちっていうのを大事に持ち続けてトライしていけば、独立したあとに大変なことがあったとしても、楽しく前向きに乗り越えられるんじゃないかなと思います。また、そういう人たちがどんどん飲食業界を盛り上げたら、必然的に全体が盛り上がって、結果的に楽しい業界になっていくんじゃないかなと。諦めずに夢を叶えて欲しいなと思います」
と力強い言葉を残してくれました。
RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」番組公式Twitter @rkbyuge
2020年12月放送
大名へて #弓削聞平 #田中みずき
ライタープロフィール:本田淑子
フードディレクター
食の企画あれこれ。魚食を盛り上げる「サカナグミ」や子ども達と一緒に料理を楽しむ
「放課後ゴハン倶楽部」なども主催。https://www.plantecook.com
RKBラジオ「スマイルディッシュ」は2021年3月で終了いたしました
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