“かたつむり”が世界の剣道を変える!
中でもヒットしているのが「かたつむり甲手」。手を入れた瞬間、従来の甲手とは全く違う自由度の高さに、みな驚く。
永武堂の多比良始郎(たいらしろう)さん(58)は、これまでに多くの剣士たちの採寸をしてきた経験 から“かたつむり”を編み出した。40年をかけた労作だ。
しかし、それでも多比良さんは納得しない。
甲手の職人さんは「何度も作り直しをさせられる」とため息交じりだ。
いったい“かたつむり”とは何のことなのか?
また、汗で臭くない防具を使いたいという要望が多いことから、新しく考案した「洗える防具」も大好評。
剣道は世界的なスポーツ。
顧客には日本の有名選手もたくさんいるが、ヨーロッパやアメリカからも注文が来る。知られざる武具の世界を描く。
会社名:武道具専門店 永武堂(えいぶどう)
担当者:多比良始郎(たいらしろう)専務
住所:〒850‐0055長崎市中町2‐22
電話番号:095‐821‐0037
HP:http://members2.jcom.home.ne.jp/eibudo/
その他:既製品はほとんど取り扱っていない。主にオーダーメイド。防具一式は、子供用などの数万円のものから、200万円を超えるものまである。放送で紹介したものは、一式32万円(税別)。 また、『かたつむり甲手』は、刺し子(布製)2万8千円~5万4千円(税別)。革製は、8万円~28万円(税別)。
取材後記
『防具にこだわる人』『防具が好きな人』ほど、永武堂に注文してきます。ある著名な指導者の言葉が印象に残っています。
「全国には、他にも歴史のある防具店や有名な職人さんがいて、こだわった防具を作っている。しかし、ほとんどがそれを使う剣士たち“が”、その防具に合わせて稽古や試合をしている。つまり、馴染むまでに時間がかかる。ところが、永武堂は、剣士たち“に”防具を合わせて作ってくれる。だから、出来た防具は、翌日には試合ですぐに使える。この違いは大きい」といいます。 面やコテが合わないため、大きなストレスをかかえていたり、まるでそれが当たり前のように思い、気づいていない人ほど、永武堂に出会うと衝撃を受けます。それは、全日本大会で取材していて目の当たりにしました。特に防具について詳しく知らない海外の剣士たちは如実に反応します。「値段の高い安いにはかえられない」とインタビューで答えた人は、一人二人ではありません。 激しく打ち合い、ぶつかり合う剣道。高段者の試合や大きな大会になればなるほど、防具の微妙なズレや違和感が、勝敗を左右することがあります。
永武堂の多比良さんは、体に合わない防具のストレスから剣道をやめたり、試合で力を出せない人を多く見てきました。
「もっと剣道を楽しんでほしい」「長く続けてほしい」
それが多比良さんの願いです。特に、子どもたちに、もっと剣道を広めたいと考えています。ただ、保護者の財政事情もあって、道場のものを借りたり、既製品の合わないもので済ませる人も多いのです。中には、どうせすぐに大きくなるのだからと、面が顔を一周するようなものをしている子どももいるそうです。 今は、海外の剣士たちだけでなく、子どもたちにも使ってもらえるような(可能な限り)安価な『かたつむり甲手』を考案中です。
※なお、コテの文字は、全日本剣道連盟は“小手”を使い、辞書には“籠手”と載っていますが、永武堂の多比良さんは、「手の甲に当てるもので、昔から“甲手”と永武堂では使用していたので商品名でも使っている」とのことです。ですから、放送上はあえて“甲手”を使用しています。
担当:NBC長崎放送 中原 暎二
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