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南の島に雪が降る~雪塩が育むふるさと愛~

たかが塩、しかし人間は塩がなければ生きていけない。そんな塩の中でちょっと変わった塩が沖縄にある。宮古島の澄んだ美しい海水が生み出す「雪塩」だ。
「雪塩」はその名の通り、粉雪のように細かなパウダーの塩。宮古島でなければ作り出せない特別な塩なのだ。そしてこの雪塩の誕生にはほとんど語られることがない誕生秘話があった。1人の男性の挫折と故郷の愛が生み出したのが「雪塩」だったのだ。

「雪塩」の魅力にとりつかれたように島では観光客がまさに「爆買い」を繰り広げる。スイーツにスキンケア、歯磨きと・・・。店内は商品を買い求める人たちで溢れる。すごいのは爆買いだけではない。西里長治(にしざとちょうじ)社長(51)の情熱はそれ以上に熱い!塩に対する思いは誰にも負けないほどで、その思いが募って日本全国、世界中の美味しい塩を集めたショップ「塩屋(まーすやー)」まで作ってしまった。それだけでなく宮古島には美味しいものや島独自の野菜などを売る「島の駅」も作った。

その西里社長の思いの深さは多くの人たちを魅了する。東京から移住を決めて入社した人、中には海外から一緒にビジネスがしたいという人も。「雪塩」めぐる秘話と熱い思いを伝える。 しかしこの雪塩誕生にはほとんど語られることがない誕生秘話があった。1人の男性の故郷への愛と挫折がこの塩を作り出した。そしてその故郷への愛は多くの人を魅了する。南の島に降る雪のような塩、「雪塩」の物語。
■取材先
会社名:株式会社パラダイスプラン(本社)島の駅みやこ
担当者:〔代表取締役〕西里長治〔総務〕垣花好美
住所:沖縄県宮古島市平良字久貝870-1
電話:0980-73-4140

会社名:雪塩ミュージアム(製塩所)
住所:沖縄県宮古島市平良字狩俣191
電話:0980-72-5667
営業時間:4月~9月9:00~18:30 10月~3月9:00~17:00

会社名:塩屋(まーすや)国際通り松尾店
住所:沖縄県那覇市松尾213
電話:098-917-4140
営業時間:10:00~22:00
休日:無休

会社名:郷家
住所:沖縄県宮古市平良字西里570-2
電話:0980-74-2358

取材後記


爆買い、という現象は落ち着き、ほとんどもうないのかと思っていた。しかし、宮古島の「雪塩ミュージアム」では、バスで乗り付ける観光客。両手に商品を持った人、ショッピングバスケット一杯に商品を投げ込みレジに急ぐ姿・・・これぞ「爆買い!」というシーンが目の前で繰り広げられた。

ここは宮古島だよね、秋葉原や銀座じゃないよね。とカメラクルーと言っているうちに爆買いの一行はバスで去っていった。衝撃のカルチャーショックの1時間だった。宮古島で作られているサラサラの塩、「雪塩」はよく知られている。しかしそこに秘められた深い思いや優しさを知る人は少ない。雪塩を開発したのは宮古島出身の西里長治社長。

幼い頃から父親に「宮古島のためになる人になれ」と言われて育ち、故郷の前にと起こした事業に失敗。立ち直れないほどの大きな挫折。しかしその時、美しい宮古島の海が宝であることに気づき、塩製造を始めた。しかもその塩は当時、他に類を見ない粉雪のような細かく軽い塩だった。「粉雪のようだ」とその塩は「雪塩」と名付けられた。この雪塩は挫折から立ち上がった1人の男性の故郷、宮古島への思いの終結だった。は
それだけでなく、日本中の、世界中の塩を紹介し売る「塩屋(まーすや)」まで立ち上げてしまった。「雪塩だけでなく、なぜ競合する他の塩まで売るのですか?」という問いかけに、西里社長は「真面目に愛情を込めて作り出す職人を紹介したい」と屈託のない笑顔で語った。

また美味しいものを作っているが、離島ゆえに販路が確立できないのは惜しい、と島の人たちの商品や島の野菜などを中心にした売り場「島の駅みやこ」も作った。そこでは故郷で働きたいという人や西里社長の考えに共感する人が東京から就職したりしていた。

そしてある日、「塩屋」では西里社長の考えに共感する香港の塩ビジネスマンと代理店契約も結ぶ調印式にも出くわした。
たかが塩、しかし人は塩がなくては生きてはいけない。そして雪塩は宮古島の自然がなければ作り出せない。そんな塩の物語を伝えたいと思った。
担当:RBC琉球放送 土江真樹子

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