すすぎゼロでも使える洗濯洗剤(後編)
目次
なぜ洗剤にエッセンシャルオイルを使ったのか?
前回に引き続き、『がんこ本舗』の木村正宏社長(通称:きむちん)のお話をさせてください。
“きむちん”が作った“すすぎゼロでも使える洗剤”『海へ…Step』。そのすすぎゼロを実現したのがエッセンシャルオイルのおかげだということは前回ご紹介しましたが、今回は「なぜエッセンシャルオイルを使ったのか?」という、そもそもの誕生秘話をご紹介したいと思います。
? すすぎゼロでも使える洗濯洗剤(前編)
“きむちん”曰く、植物由来の成分を使ったとしても、洗剤はどうしても薬品のような匂いがしてしまうそうです。それをなんとか心地よい香りにできないかと、ラベンダーのエッセンシャルオイルを混ぜてみたところ、良い香りはもちろんのこと皮脂や油汚れを落とすこともできた。つまり、エッセンシャルオイルの使用と効能は偶然の産物だったのです。
ではなぜ、植物由来のオイルのなかでもラベンダーのエッセンシャルオイルを使ったのか?
植物由来の洗剤には、大抵「パーム油」が使われています。しかし、“きむちん”は「パーム油を洗剤に使うことをやめよう」という発想からスタートしたそうです。そこにはやはり環境問題が大きく関わっていました。
“きむちん”が作った“すすぎゼロでも使える洗剤”『海へ…Step』。そのすすぎゼロを実現したのがエッセンシャルオイルのおかげだということは前回ご紹介しましたが、今回は「なぜエッセンシャルオイルを使ったのか?」という、そもそもの誕生秘話をご紹介したいと思います。
? すすぎゼロでも使える洗濯洗剤(前編)
“きむちん”曰く、植物由来の成分を使ったとしても、洗剤はどうしても薬品のような匂いがしてしまうそうです。それをなんとか心地よい香りにできないかと、ラベンダーのエッセンシャルオイルを混ぜてみたところ、良い香りはもちろんのこと皮脂や油汚れを落とすこともできた。つまり、エッセンシャルオイルの使用と効能は偶然の産物だったのです。
ではなぜ、植物由来のオイルのなかでもラベンダーのエッセンシャルオイルを使ったのか?
植物由来の洗剤には、大抵「パーム油」が使われています。しかし、“きむちん”は「パーム油を洗剤に使うことをやめよう」という発想からスタートしたそうです。そこにはやはり環境問題が大きく関わっていました。
私たちの生活に欠かせない「パーム油」とは?
パーム油は「アブラヤシ」という植物から採れる植物油で、その多くはマレーシアやインドネシアでのプランテーション栽培により作られています。
パーム油が我々の生活には欠かせないものであることを皆さんはご存知でしょうか?洗剤のほかに、主にはインスタントラーメンやスナック菓子、マーガリンなどの食品に使われ、他にもアイスクリーム、チョコレート、ドーナツ、カレーのルウ、乳児用粉ミルクなど多くの食品に使用されています。
さらに、ここ5年ほどの間、バイオマス発電の燃料にパーム油を使う発電所の申請が増えているという情報もあります。バイオマス発電とは石炭などの化石資源ではなく「再生可能な生物由来の資源」を使う事業で、世界中でCO2削減が叫ばれる昨今注目されています。
一年中実を付けるアブラヤシを絞ってとるパーム油は、もちろん“植物由来”です。ということは、有機性ですから、再生可能な資源と言えます。しかし、その生産背景に目を向けると「持続可能」なのかどうかという疑問が浮かび上がってくるのです。
パーム油が我々の生活には欠かせないものであることを皆さんはご存知でしょうか?洗剤のほかに、主にはインスタントラーメンやスナック菓子、マーガリンなどの食品に使われ、他にもアイスクリーム、チョコレート、ドーナツ、カレーのルウ、乳児用粉ミルクなど多くの食品に使用されています。
さらに、ここ5年ほどの間、バイオマス発電の燃料にパーム油を使う発電所の申請が増えているという情報もあります。バイオマス発電とは石炭などの化石資源ではなく「再生可能な生物由来の資源」を使う事業で、世界中でCO2削減が叫ばれる昨今注目されています。
一年中実を付けるアブラヤシを絞ってとるパーム油は、もちろん“植物由来”です。ということは、有機性ですから、再生可能な資源と言えます。しかし、その生産背景に目を向けると「持続可能」なのかどうかという疑問が浮かび上がってくるのです。
パーム油と社会問題
そもそもアブラヤシの原産国は西アフリカや中南米ですが、需要が高まるにつれ、1960年代以降マレーシアで、1980年代にはインドネシアでプランテーションによる栽培が盛んになっていったそうです。
その巨大な農園であるプランテーションがどうやって作られたのか…その話を聞いた時、僕は愕然としました。(みなさんの中にも、薄々お気づきの方がいらっしゃると思います)
インドネシアやマレーシアのプランテーションは、もとは広大な熱帯雨林だった土地を開発して作られたもの。ということは、多くの樹木を伐採して土地を確保している時点で、すでにCO2削減とは真逆の方向に進んでいる存在なのです。
さらに調べていくと、その排出係数は化石燃料よりも高いという報告書もあることが分かりました。そのためヨーロッパでは、バイオマス燃料としてパーム油を使用することに対する規制が始まっています。そこに関して日本は遅れをとっており、このままいくといずれ日本は、世界中から厳しい目を向けられるとも言われています。
また、アブラヤシは約20mの高さにもなる植物であるため、現地で収穫作業をしている人たちにとっては、重労働な上に低賃金であるといった問題もあります。
“きむちん”は、実際にプランテーションを見学した際、「自然な形で無造作にではなく、整然と並んで立っているアブラヤシの木を見て、悪寒がした」と言っていました。
それと同時に、「このまま環境破壊・人権侵害に加担してはいけない」と決意したそうです。そのような経験から生み出された洗剤『海へStep…』の効果は、前回のコラムでご紹介した通りです。
その巨大な農園であるプランテーションがどうやって作られたのか…その話を聞いた時、僕は愕然としました。(みなさんの中にも、薄々お気づきの方がいらっしゃると思います)
インドネシアやマレーシアのプランテーションは、もとは広大な熱帯雨林だった土地を開発して作られたもの。ということは、多くの樹木を伐採して土地を確保している時点で、すでにCO2削減とは真逆の方向に進んでいる存在なのです。
さらに調べていくと、その排出係数は化石燃料よりも高いという報告書もあることが分かりました。そのためヨーロッパでは、バイオマス燃料としてパーム油を使用することに対する規制が始まっています。そこに関して日本は遅れをとっており、このままいくといずれ日本は、世界中から厳しい目を向けられるとも言われています。
また、アブラヤシは約20mの高さにもなる植物であるため、現地で収穫作業をしている人たちにとっては、重労働な上に低賃金であるといった問題もあります。
“きむちん”は、実際にプランテーションを見学した際、「自然な形で無造作にではなく、整然と並んで立っているアブラヤシの木を見て、悪寒がした」と言っていました。
それと同時に、「このまま環境破壊・人権侵害に加担してはいけない」と決意したそうです。そのような経験から生み出された洗剤『海へStep…』の効果は、前回のコラムでご紹介した通りです。
環境のために作られた洗剤が“直接”海を救った!
“きむちん”が開発した“すすぎゼロ洗剤”は海への環境負荷を考えて作られたものです。具体的には、洗濯における「水の使用量削減」「化学繊維の流出抑制」などの効果が挙げられます。
しかし、昨年末(2021年)その洗剤を直接撒くことで海を救ったエピソードがあります。それは、博多港で貨物船が堤防に乗り上げた事故が起きた時のことです。船から流出した重油の除去作業で『海へStep…』が活躍したのです。
一般的に、海面に浮いた重油は中和剤を使って除去するのですが、“きむちん”に聞いた話によると、中和剤は「海面に浮いた重油を固めて海底に沈めるだけ」。つまり、海面から見えなくなっても、重油は海底には残ったままの状態になっているとのこと。
しかし、『海へStep…』を海面に撒くと、前回のコラムでもご紹介した通りエッセンシャルオイルの粒子が細かいため、重油の塊を細かい粒にしてコーティングしてくれ、そうすることで、重油が微生物に分解できるサイズになるというのです。そうして、『海へStep…』の力と微生物の活躍により、重油が二酸化炭素と水に分解され、海から重油をなくすことができたわけです。
この貨物船の事故の際、“きむちん”は即座に行動。伊崎漁港(福岡市中央区地行浜)に『海へStep…』を大量に寄付し、重油の除去作業を行っていた漁師さんからとても感謝されていました。もちろん海面だけではありません。本来の用途である洗剤としても、漁師さんたちの船や網などの道具の洗浄に大活躍しました。
しかし、昨年末(2021年)その洗剤を直接撒くことで海を救ったエピソードがあります。それは、博多港で貨物船が堤防に乗り上げた事故が起きた時のことです。船から流出した重油の除去作業で『海へStep…』が活躍したのです。
一般的に、海面に浮いた重油は中和剤を使って除去するのですが、“きむちん”に聞いた話によると、中和剤は「海面に浮いた重油を固めて海底に沈めるだけ」。つまり、海面から見えなくなっても、重油は海底には残ったままの状態になっているとのこと。
しかし、『海へStep…』を海面に撒くと、前回のコラムでもご紹介した通りエッセンシャルオイルの粒子が細かいため、重油の塊を細かい粒にしてコーティングしてくれ、そうすることで、重油が微生物に分解できるサイズになるというのです。そうして、『海へStep…』の力と微生物の活躍により、重油が二酸化炭素と水に分解され、海から重油をなくすことができたわけです。
この貨物船の事故の際、“きむちん”は即座に行動。伊崎漁港(福岡市中央区地行浜)に『海へStep…』を大量に寄付し、重油の除去作業を行っていた漁師さんからとても感謝されていました。もちろん海面だけではありません。本来の用途である洗剤としても、漁師さんたちの船や網などの道具の洗浄に大活躍しました。
「毎日使うモノ」から世界と環境を変えていく
『海へStep…』は、すすぎゼロの特性をいかし、「令和2年7月豪雨」で被災した方々の避難所での生活に役立つなど、これまでも多くの場面で活躍しています。
今回も最後に“きむちん”の言葉をご紹介します。
毎日使うモノが、もしもの「備え」になる。
毎日使うモノが、日々の「幸せ」をもたらす。
毎日使うモノが、世界の「貧しさ」をなくす。
どうぞご自身と家族、友人をお守りください。日々を大切にお過ごしください。祈るばかりでございます。
★きむちんこと木村正宏社長のプロフィール★
小学生の時すでに高校の数学の問題を解いていたという根っからの理系。63歳(2022年1月現在)にして3歳のお子さんがいる。もともとは登山家でエベレストなど世界有数の山を制覇。山頂から山を埋めつくす氷を見たときに「この氷が溶けたら海に流れ出すんだ」と思い、海と山が繋がっているという意識を持ち始める。自然に人間は生かされていると実感し、以降環境活動を行う。そんな考えや行動から、7年前に富士山の8号目にある神社の神主に任命され、今も夏季はその神社でお務めしている。
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