手から息吹
「あっ、手も染まってます」。差し出した手のひらは淡いオレンジ色。
吉屋和鼓(よしや・つづみ)さん(30)は草木染め作家。天然素材や植物から作る染料で染めを行う。桜にビワ、葡萄、栗。材料に使う葉や枝、果実の皮は、伐採などで廃棄されてしまうもの。
浸して絞って、また浸して・・・捨てられる草木の命を布に吹き込む。
アトリエは廃校になった中学校の家庭科室。出身地の隣町、錦江町に移住したのは2年前。
東京のアパレルショップの店長から町の未来づくり専門員に転身、染色で町を発信している。
きっかけはコロナ禍。店が休業になり「本当にやりたいこと」を自分に問いかけた・・・
「唯一無二のものを作りたい」。
染色からデザイン・縫製までをこなし、天然の色彩を洋服やドレス、小物に。
色を生み出す素材が“この町”にあることを伝えたい。小さな町の豊かさを草木染めの多彩な色に込める。
次はどんな色を・・・一期一会をつなぐ手しごとの日々を追った。
(制作:MBC南日本放送/布袋 貴代江)
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう