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息が合わないと竹が折れる、約10分で「光る提灯」をとりつける職人技~戸畑祇園大山笠

ユネスコの無形文化遺産「戸畑祇園大山笠」で4年ぶりに「競演会」が開かれました。物心がついた頃から参加し、祭りで大役を担った男性の姿です。


◆2.5トンある“光のピラミッド”を動かす
約10メートルの山笠に取り付けられた12段、309個の提灯。闇夜に浮かぶ「光のピラミッド」、「戸畑祇園大山笠」です。男達は太鼓や鐘の囃子に合わせた「ヨイトサ」の掛け声とともに約2.5トンある山笠を動かしていきます。4つある山のひとつ「東大山笠」で太鼓を打つのは物心ついたときからこの祭りに参加してきた宮崎和久(36)さんです。祭りの1週間前、「東大山笠」の山笠作りは大詰めを迎えていました。木製の骨組を組み立て途中で外れないよう弾力があり強靱な「藤葛」(藤の根)で締めあげていきます。

宮崎さん「いいねえ葛がなきよるわ」

この日の北九州市の最高気温は33.7度。屋外での作業に汗が噴き出します。組み上がった山笠を確認した後は、宮崎さんが打つ太鼓の場所の調整です。宮崎さんには、太鼓の他にもうひとつ重要な役割があります。


◆息のあった動きで12段の提灯が次々と取り付けられた
豪華な飾り物をつけている大山笠。夜になると10数分の間に飾り物をすべて外し提灯に入れ替えます。宮崎さんは高さ4メートルの柱に上り5段分の提灯を山笠の頂点に固定する大役を任されているのです。

宮崎さん「速くきれいに飾るのを練習しています。命がけでやっています」

チームワークが重要となる「五段上げ」。息が合わないと提灯は左右に揺れ持ち上げる竹が折れることもあります。担当する男たちは、何度もそれぞれの持ち場の動きを確認していました。そして7月22日、土曜日。宮崎さんの太鼓と男たちのかけ声とともに始まった4年ぶりの競演会。息の合った男たちの動きであわせて12段の提灯が次々に取り付けられていきます。提灯大山笠が完成すると宮崎さんは余韻に浸ることなく再び太鼓を打ち始めました。


◆この祭りが“生きがい”父の勇姿を見守る息子たち
観客席では2人の息子が父の勇姿を見守っていました。

息子の晏士くん(7)「(パパの太鼓は?)かっこいい!」
息子の源士くん(5)「太鼓やっとるところがかっこいい」

4年ぶりに戸畑区役所前に集結した「光のピラミッド」。2時間にわたり集まった観客を魅了し続けました。

宮崎さん「4年ぶりなので、担ぎ手と一体感を生めるように頑張りました。(このお祭りはどういう存在?)生きがいですかね、ハハハ!」

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