PageTopButton

「さよなら」と別れた友人は爆撃で死亡した、逃げ込んだ森で児童31人が犠牲に~あの戦争を語り継ぐ

アメリカ軍の爆撃で31人の児童が犠牲となった「頓田の森の悲劇」。友人を亡くした高山八郎さん(89)が自分の体験をまとめ、出版しました。戦争の愚かさだけでなく、差別やいじめの問題にも触れています。意識が薄れる友人に必死に声をかけた高山さん(当時、小学4年)。「目を薄く開けて、そしてまた目を閉じました」と最期を振り返ります。

避難中に森の方で爆撃音「子供がやられたみたい」


福岡県筑前町に住む高山八郎さん(89)は、78年前の自分の体験を物語に落とし込み今年6月、一冊の本を出版しました。「ひとすじの光~戦火を逃れて~」の題材は1945年3月27日、アメリカ軍の爆撃によって31人の子供の命が奪われた「頓田の森の悲劇」です。当時、高山さんは小学4年生でした。修了式の最中にいきなり、空襲警報が鳴り響いたと話します。

高山八郎さん「校長がいつも通り集団下校してくださいと大きな声で言ったんですよ。目と耳を塞いで。そしたらものすごいダダダダダーンという音がして、ぱっと起きあがったら大刀洗飛行場がやられていた」

避難をしていると、頓田の森の方から爆発音が聞こえました。

高山さん「どうも立石の子供がやられたみたいだと、そういう話を聞いて」

この爆撃によって森に逃げ込んだ児童31人が死亡、高山さんの友人も亡くなりました。

高山さん「生徒隊があるから用心して帰れよって言ったら、お前もねって手を振って。さよならまたねと」

これが友人との最後となりました。

高山さん「手を握って少年飛行兵になるんじゃろうと何回も言いました。目を薄く開けて、そしてまた目を閉じました」

「平和は生きるすべての出発点」普通の暮らしのありがたみ


物語中の主人公は疎開先でいじめにあい、困難を乗り越え成長していく姿が描かれています。高山さんは今回、昨今の子供たちのいじめや自殺などの問題を受けて執筆したということです。

高山さん「(自殺する学生が多いことを受けて)ああこれは人ごとじゃないと思って、救えないかと思って。そういう差別に打ち勝っていく子供の姿を書きたいと」

物語中には家族の団らんも描かれています。高山さんは、家族の支えがあったからこそ主人公はいじめを克服できたとして本の終わりにこのように綴っています。

「団らんのある普通の暮らしこそ大事だと思います。その家庭の団らんは、なによりも平和でなければなりません。そのことが生きていくことのすべての出発点です」

高山さん「戦争はしてはいけないとそういういうのもくみとってもらいたいですね。戦争はしないでほしいと」

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう