見ているだけでこちらも勇気づけられる元気な高齢者がいます。御年77歳。スポーツ大会の100メートルに出場し、圧巻の走りを披露しました。年の割には…というレベルではなく、若い世代の選手たちも度肝を抜かれる走りです。
町内の運動会で「ごぼう抜き」自分の才能に気づく
448人がエントリーした福岡県民スポーツ大会。陸上競技の部に28年続けて出場している男性がいます。春日市に住む武田隼人さんは77歳。筋トレや加速走が日課です。
「重心がしっかりしとかないかん。これでトップスピードに。40歳ぐらいの頃、町内の運動会を走ってくれと言われて、走ったらごぼう抜きで。友達に『競技に出らんか』と言われたんです」
武田さんの次女・草場志乃さんです。陸上に没頭する父を見て育ちました。
娘の志乃さん「長女もフルマラソンに出たり、大学1年の息子も学生の頃は陸上して、今も陸上サークルに入っている。(武田さんの影響?)そうですね、全員結局やっていますので」
祖父の姿を見て子供も孫も…「陸上一家」に
祖父の影響で陸上を始めた末っ子の郁哉さんは、中学3年生です。今でもアドバイスを受けています。
郁哉君「僕の走りのフォームを、足上げたらいいとか。お年寄りでもしっかり走っている。走ることで元気が出ていると思います」
武田さんは地域の子どもたちが通う陸上クラブに週に2回参加しています。自分のトレーニングとともに子供たちへの指導も楽しみの一つです。
教え子の島津那奈ちゃん「優しくいっぱい教えてくれる先生です。77歳でもピンと立っている所がすごいと思います」
那奈ちゃんの母・日奈さん「長い目で見たらこういう努力したらいいとか、自分たちではわからないことを教えてくれる良い先生だなと思います。“心”を学びに来ているという部分もあります。スーパーおじいちゃんですね!」
さらなる高みへ、日本記録に向けた練習が続く
武田さんがエントリーしたのは壮年男子100メートル70代の部です。レース直前、スタンドで見守るのは娘の志乃さんです。号砲が鳴り、会場に実況が響きます。
「先頭は第5レーン武田隼人君!」
クラウンチングスタートからの立ち上がりも一番。どんどんとスピードを上げていきます。両手を大きく振る肩には、盛り上がった筋肉がのぞきます。トップスピードに乗った後もペースは落ちません。後続を大きく引き離したまま、フィニッシュ。表情には余裕があります。
武田さん「転ばないように走った。たぶん1位かな」
武田さん「子供とか孫に迷惑をかけず80歳まで頑張れたらいいなと。それに向かってトレーニングします。狙うは日本記録よ!」
77歳の現役ランナーは高い目標に向け、まだまだ後輩たちに負けるわけにはいきません。
武田さん「また精進します、ありがとうございました」
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう
この記事を書いたひと
小澤龍一
カメラマン
福岡県出身の25歳。北九州市立大学外国語学部国際学科卒。2020年ケーブルテレビ局に入社し3年間カメラマンとして番組制作に携わり、2023年4月RKBCINC入社。趣味はお酒を飲むこと・バラエティー番組を見ること。