異例の自民支部長「空席」は麻生氏に配慮?党幹部は「痛み分け」 福岡9区
福岡県北九州市の西部を選挙区とする衆議院の福岡9区について、自民党本部は次の選挙の候補予定者となる支部長を置かず「空席」のままとする決定を下しました。不戦敗につながりかねない異例の決定。その背景に何があったのでしょうか。
目次
大家氏は党本部で自民幹部に・・・
記者「この間麻生副総裁とは何かやり取りはされてますでしょうか」
大家大家敏志参議院議員(16日)
「していません。この選挙の件に関してですね」
自民党関係者によると、大家氏は麻生氏が「決定に関与しているのか」と茂木幹事長らに迫ったといいます。その上で多くの企業や団体から推薦をもらい北九州市議からの応援も受けていることを強調したということです。これに対し、茂木幹事長は大家氏が選対本部長を務めて多数の団体の支援を受けたものの敗北した北九州市長選に触れ「では、なぜ市長選で勝てなかったのか」と返したということです。
記者「今回の決定に麻生さんが与えた影響はどういうふうにに考えていますか?」
大家大家敏志参議院議員(18日)
「まあ、大きかったのではないかなと思っています。様々なことを総合的に勘案して、今回の決定に至ったという茂木幹事長のご説明でありました」
鞍替えしたら…補選経費は約18億円
2022年の参議院選挙でトップ当選を果たし、任期を約5年残す大家氏。鞍替えで辞職した場合に行われる補欠選挙には約18億円かかる見通しです。岸田内閣の支持率が低迷する中、単独過半数に達していない参議院で議席の減少を懸念する声もあります。自民党福岡県連の関係者は「そもそも9区で議席を失っていたわけだから、去年の参院選に出なければ良かっただけだ」と話します。任期中の鞍替えを原則、禁止する党の規定に反するほか、自民党が行った世論調査では大家氏は三原氏よりも下だったとされています。難しい状況に自らを追い込む形となった大家氏ですが、あくまで意思は変わらないと強調します。
大家敏志参議院議員(18日)
「今こうやって(支部長を)置かないというどう見ても不可解な状況がありますから、より一層みんなで燃えている。党本部の決定自体が不可解だと思っていますので、私はしっかり党本部にも再度訴えかけます」
北九州市長が応援するのは
対する北九州市議会議員の三原朝利氏は、19日、1000人以上が集まった武内市長の市政報告会に参加しました。武内市長は自民党の支部長に選ばれなかった9区の三原朝利氏と10区の大石仁人氏が出馬すれば応援すると改めて明言しました。
北九州市 武内和久市長
「政党がうんぬんではなくて、私は1人の人間・1人の政治家・1人の北九州市に貢献したいという志、これをしっかりと見つめて応援していく。北九州市を前向きに明るく変えていきたいというこの熱い思いと揺るがない志、そこは私は強く共感しています」
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。