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高橋大輔スペシャルインタビュー(3)若手選手の台頭に期待

今年5月にフィギュアスケート・アイスダンスの現役引退を表明した、プロフィギュアスケーターの高橋大輔さんが、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』に出演。旧知の間柄でもあるRKB毎日放送の田畑アナウンサーのインタビューに応じた。4回シリーズの3回目は、次代のフィギュアスケート界を担う若手たちの活躍について語った。

世界で戦える選手が現れそう

田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):フィギュアスケート界もいろいろと若手が台頭してきています。男子シングルスでは宇野昌磨選手が引っ張っていて、そこに鍵山優真選手が出てきたり、三浦佳生選手が出てきたりと、どんどん若い選手が育ってるなって思うんですが、高橋さんはどうご覧になっていますか。

高橋大輔さん(以下、高橋):優真君はケガで一時期ちょっと大変だったんですけど、今シーズンから戻ってきて。佳生君もかなり力をつけてきていますし、それ以外の選手もライバル関係というか。この間東日本選手権を見に行ったんですけど、ノービスからジュニアに上がってきた男の子ですごい選手になりそうな子が何人かいたんです。将来に向けてわくわくしてる感じで見てましたね。世界で戦える選手が出て来てくれると、注目もしてもらえるので。やっぱり現役で試合に勝って、メディアで取り上げてもらうのが一番認知度を保てるなって。かつてフィギュアスケートが人気じゃなかった時代も知っていて、世界で勝って活躍するっていうのと、そうじゃないのとではやっぱり違うっていうことも実感していたので、(後に)続いてほしいなとは思うんですけど。

田畑:高橋さんはパイオニアですからね。

高橋:先輩方のいろんな結果の積み重ねだと思っています。

田畑:あと国内にライバルがいるっていうのも大きいですか。

高橋:大きいですね。僕も急成長できたときも織田信成君に負けたくない気持ちがあったからこそだと思うので、近くにいるってのは大事だと思います。

田畑:一方、女子シングルスはいかがですか。

高橋:女子はね、本当に体が変わってくるので、そこをうまく調整して上がっていくのが難しいんです。男性は、年齢が上がれば上がるほど力をつけていきやすいところがあるんですけど、女性はそこの調整も難しいので。でもすごい才能を持った子がたくさんいるので、周りのコーチ陣やスタッフの方がうまくフォローしてあげて、長くいいパフォーマンスができるように頑張ってもらえたら、いいところに行くんじゃないかなって思いますけどね。

独創性が出せるようルールを見直す時期

田畑:テクニックの方でいくと、4回転とか難易度がどんどん上がっています。そっちを追求するのと、ステップとか、表現をどんどん追求するのといろんな方向性はあるのかなと思うんです。何か今、女子も4回転できるのかどうかって求められる部分が出てきてますけど、高橋さんはそのあたりはどう思いますか。

高橋:アスリートとして高い難易度のものを詰め込むことは本当に素晴らしいことです。限界を越えていくってのはかっこいいし、見ていて感動するんですけど、フィギュアスケートの特性っていう部分でいうと、芸術性やエンターテイメント性があるという、難しいスポーツではあるんですよね。そういった点でいうと、そういうところで集中しすぎて他の部分がおろそかになってきてしまうと、独創性が失われるおそれがあります。あとルールの面でも独創性を作りにくいようになっているのかなと思うので、例えば女性は4回転で1本だけとか規制を入れて、表現する部分だったり、繋ぎの部分だったりとかにも力を入れられるようなルールに変えていけば、いろんなタイプの選手が増えていくんじゃないかなと思います。もちろん全部がノーってわけじゃないけど、より一層良くなるために1回見直すときは必要なのかなって感じていますね。

田畑:今活躍してる選手を見て「いつか私も」と思ってる子供たちもたくさんいると思うんですけど、小学生ぐらいの子供たちはどういうふうな練習していったらいいとか、どういうふうに学んでいくといいのかって何かアドバイスできることってありますか。

高橋:早い段階で、頑張りすぎるっていうか追い込んじゃうケースがありますが、もともとは楽しさでスタートしたわけじゃないですか。その楽しさがないとやっぱり続かないじゃないですか。しんどいことも大事ですけど、バランスっていうのかな。たしかにジャンプのテクニックが上がってきいてるから、体が大きく変わる前に仕上げておかないと、なかなか大きくなってから作りにくい部分があります。トップで戦っていくにはかなり詰め込まなきゃいけない状態ではあると思うんですけど、でも長く続けるのが一番いいことだなと僕は思うので、小さいうちから詰めすぎずに、遊びながら、楽しみながら知らないうちに真剣になっていくっていう状態を作るのが一番いいんじゃないかなと思います。それはもう本当に周りの力だと思います。

田畑:環境というところで言うと、今年、福岡市でもまた練習場が復活したんですけど、やっぱりこういう場があるってことって大事ですよね。

高橋:僕たちの競技は氷がないと練習できないんですが、リンクは少なくなっています。ランニングコストが大変だったりとか、電気代も上がってきてるんで、大変な部分あるんですけど、でもいろんな地方に、もっともっと増えれば裾野が広がっていって、強い子が出てきて、そして次世代に繋がっていくっていうところになるかと思います。

(4)につづく

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