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松尾潔・有名人の募金「売名」批判に苦言“杉良太郎の言葉”を紹介

ロックバンド・X JAPANのYOSHIKIさんが能登半島地震による被災地の支援のため、1000万円を日本赤十字社に寄付した。ネット上では一部、「売名行為」との批判の声が上がったことに、音楽プロデューサー・松尾潔さんは苦言を呈する。1月8日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で60年以上慈善活動を続ける杉良太郎さんの言葉を紹介した。

YOSHIKIが能登地震の支援に寄付

能登半島地震について、僕が仕事をしているエンターテイメント、ショービジネスの世界でもやはり大きな衝撃をもって受け止められています。被災地の力になりたいと考えて、今できる支援=募金をしようとしている人もいるでしょう。

でも募金はどこにすれば良いのか、迷いますよね。昔からポピュラーなものでは赤十字、最近だとネットからアクセスするヤフーもかなりポピュラーな窓口になっているんじゃないかと思います。

そして「自分も募金してみよう」というとき、有名人の行動が背中を押してくれることもあると思います。たとえば大谷翔平さんとドジャースの共同名義の1億4000万円。あれはインパクトがありました。

そして今回「も」、X JAPANのYOSHIKIさんがいち早く1000万円を寄付しました。その早さもまた、自身の行動が募金を促す大きな要素だということを理解しているんだなと思います。

ですが、結構ネット上では募金に対して「売名」だとか、「またいい顔しやがって」みたいな批判が巻き起こり、議論が起こりました。残念なことだと思います。もうやめませんか、そういうことで揚げ足取るのは。そもそもYOSHIKIさんにこれ以上名前を売る必要があるのかと僕は思いますが。

杉良太郎「福祉は一方通行」

ここで杉良太郎さんの話をさせてください。杉さんは『水戸黄門』や『遠山の金さん』といった時代劇でおなじみのスターで歌手でもあるという、大御所中の大御所です。その杉さんは60年以上も慈善活動をやってきて、たびたび「売名」と言われ続けていますが、彼はそれに対し「もちろん売名だよ」って皮肉を込めて応えています。

僕は杉さんが話していることをいろんなところで見聞きして、なるほどなと思ったことがあります。彼ほど長年、慈善活動をやってきた人でも、いまだに自分の思いが相手にどう伝わるかどうか、戸惑うときがあるけど、ある考え方で、彼は気持ちを変えることできたそうなんです。

その考え方とは「福祉はそもそも一方通行って思っていればいいんじゃないか」ということ。「気持ちが届いてないな」っていうような焦燥感もあるそうですけど、「そもそも頼まれてやっているのではなくて、自分が好きで福祉活動をしているんだから」と思うこと。

それで60数年続けてきて、一説によるとその総額は数十億円にのぼり、人生の多くを捧げているといえるでしょう。

僕にはそんな生き方はできませんし、そこまでのことはできませんけれども、杉良太郎さんの姿に学ぶところは大きいなと思っていて、寄付をするときは、杉さんのことを思い出すことがあります。

くれぐれも、その名声をこうやって社会的にハッピーな方向に利用する人の足を引っ張るようなことをやめてほしいと思いますね。

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