村が約4億円公費負担したのに…復興施設の“閉館”を一方的に発表、運営会社の対応に村長は「憤り感じる」
約4億円の公費を投じて3年前にオープンした福岡県東峰村の観光拠点が今月10日に突然閉館した問題です。連休明けの13日、村には問い合わせが殺到していますが、運営会社からは村にも連絡はなく、村は対応に追われています。
廃校となった小学校を改装した豪雨災害からの“復興のシンボル”が…
福岡県東峰村の観光拠点「アクアクレタ小石原」。2011年に廃校となった小石原小学校を村を改修し、ホテルやレストラン、ワーキングスペースなどを備えた複合施設です。九州北部豪雨からの復興のシンボルとして2021年4月にオープンしました。ところが今月10日、運営会社の小石原ドットコムはホームページで突然…
「諸般の事情により本日を持ちまして閉館とさせていただくことになりました」
閉館について東峰村には、事前に相談も連絡もなかったということです。村役場には朝から問い合わせの電話が殺到していました。
東峰村 白井耕平農林建設課長「情報を聞かれた方々が『どうなっているんだ』ということで、いろいろな状況を聞かれたり、そういったことが今、かなり件数として増えてきているところです。宿泊等の予約をされている方々もいらっしゃる可能性もございますので、その辺の方々へのフォローとか急がないといけないと考えている所ですが、なかなかその事実を把握することすらまだ難しいなというところがありますので」
従業員には突然の“解雇通知書”給与が払われない可能性も…
閉館について従業員に説明があったのもホームページの発表後。10日の午後に集められたレストランと清掃のスタッフ数十人に手渡されたのは「解雇通知書」でした。そこには、「誠に不本意ですが、当社の廃業に伴い、あなたを本日を持って解雇いたします」と書かれています。また、その際に代理人の弁護士から「1月と2月分の給料は払えないかもしれない」と説明があったということです。施設を運営していたのは、筑紫野市でコールセンター業務などを行う「小石原ドットコム」。閉館の理由を確かめるため、運営会社の事務所を訪問しましたが…
RKB三浦良介「インターホンを鳴らしましたが、応答はありませんでした。ここでは宿泊の予約など、コールセンター業務を行なっていましたが、施設の管理者によると今月9日から誰も来ていないということです。」
事前連絡なく閉館発表…村長は「憤り感じる」
小石原ドットコムの代理人弁護士は「資金繰りに窮し、事業継続が困難となった。近日中に福岡地方裁判所に破産手続き開始の申立てを行う予定」と説明しています。アクアクレタ小石原は、小石原ダムの水源地域振興整備事業として東峰村が約4億円を公費負担して校舎をリノベーションしました。
小石原ドットコムが村に提出した活動報告書によりますと、2021年に1000人程度だった宿泊者数は去年およそ1800人に増加。
レストランの利用者数は2021年のおよそ3500人から8000人に増えています。ただ、期待していた企業の研修や団体旅行の獲得には苦戦していました。小石原ドットコムとの賃貸契約は5年間で、3年間は無償提供。今年4月からの2年間は、毎月10万円の賃料を受け取る予定でした。
東峰村 真田秀樹村長「事前に相談がなかったことについては憤りを持っております。休む期間が長いとマイナスイメージとかも出ますので、新しい形へどう向かっていくか。村として運営に対してどういう関わりをしていたか、いろんな法律関係で相談するように準備しております」
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この記事を書いたひと
三浦良介
1999年入社、テレビ営業部、大阪支社勤務を経て2011年から情報番組のディレクターを務める。2016年から報道記者として政治・経済を中心に取材奮闘中。