4月1日から労務関連の法改正が施行され、「物流」「建設」そして「医師」の労働時間に上限が設けられました。国がおととし行った調査では、勤務医の21.2%が過労死ラインを超える年間960時間以上の休日・時間外労働をしていることが明らかになっています。人手不足が深刻化する中、医師の働き方改革に取り組み始めた病院を取材しました。
医師に発信機を携帯させ労働時間を管理
福岡県筑紫野市にある済生会二日市病院。24時間体制の救急診療を行う総合病院で、筑紫野市や太宰府市などの地域医療を支えています。
4月1日の法改正で、勤務医の休日・時間外労働の上限は原則、年間960時間、平均すると1か月に80時間に規制され、勤務と勤務の間にはインターバル=休息時間を設けることが求められました。
済生会二日市病院では、法改正をみこし去年6月から発信機を導入しました。医師に発信器を携帯してもらうことで、病院内のどこで過ごしたのかが自動的に記録され、労働状況を管理するしくみです。労働時間のデータ収集によって、残業時間が月80時間を超えそうな医師には、労務担当者が声をかけ、注意を促しています。
病棟にいる間は勤務時間、医局にいる間は休憩しているとみなされ、勤務時間外となります。これまでは医局に電子カルテなどがありましたが、勤務時間と休憩時間の差別化を図るため、電子カルテを見るための部屋を新しく設けました。電子カルテ室にいる間は勤務時間となります。
済生会二日市病院 救急課 吉山直政部長
「今この時間は医局にいます、このフロアにいますよというのが後々にデータとして出てくる。これで働いているかどうか客観的に見られます」
「残業時間が減っている傾向は確認できた」
済生会二日市病院 医局長 循環器内科 中村亮部長
「時間管理の取り組みを始める前に比べると、それぞれの医者が意識をしていますので、残業時間が減っている傾向は確認できています。また、勤務と勤務の間にはインターバル=休息時間を設け、宿直を含む連続勤務は最長28時間までとなりました。」
済生会二日市病院 救急課 吉山直政部長
「これまで当直の後、働くことも当たり前だと思ってやっていました。大学の救命センターにいましたけれども、24時間働いてその後にまた勤務する、そういう働き方がなくなりました」
こうした取り組みによって、時間外労働が約7割減った医師もいるということです。
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