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食べるだけじゃない!新しいウニ活用術

鹿児島県阿久根市の春の味覚「ムラサキウニ」。東シナ海の豊かな環境で、栄養たっぷりの海藻を食べて育ち、3月から5月にかけて旬を迎える。地元の食堂で提供され、濃厚な味わいが訪れる人を魅了している。阿久根を代表する人気の海産物だ。

 

一方で「厄介者」と呼ばれる一面も。‟海の砂漠化”と呼ばれる環境問題「磯焼け」。海藻が生い茂る「藻場」がなくなり、育たなくなってしまう現象で温暖化など複合的な要因によって起きるといわれているが、そのひとつがウニの大量発生。地元の漁協では毎年増えすぎたウニを駆除しているが、処分に困っていた。藻場がない場所で育ったウニは身が少なく、売り物にならないのだ。

 

それを有効活用しようと立ち上がったのが地元の水産会社「尾塚水産」。社長の尾塚ヱイ子さん(75)が着目したのはウニの殻。高温で焼き、カルシウムを製造し食品に。さらに食べるだけじゃない。ウニの「棘」から染料を作ることにも成功した。淡い紫色の「ウニ染めストール」は、かごしまの新特産品コンクールで入賞、フランスのデザイナーから声がかかるなど、注目を集めつつある。「ウニの様々な可能性を探ることで地元の海を守りたい」ヱイ子社長の挑戦を追う。

会社名:尾塚水産
住 所:鹿児島県阿久根市西目6675-1
電 話:0996-72-0742
ホームページ:https://www.ozuka.co.jp/

取材後記

鹿児島県阿久根市でウニの加工品を製造・販売している「尾塚水産」。尾塚ヱイ子さんは、亡き夫の後を継ぎ、30年前社長になりました。当時製造していた商品は1種類。今では「うにみそ」や「うに醤」などおよそ20種類を取り揃えています。阿久根のウニのおいしさをもっとみんなに知ってほしいと、新商品を次々と開発してきたアイデアマンです。


ウニの「身」だけではなく、「殻」や「棘」にも目をつけたヱイ子社長。食べるだけじゃないウニの新たな活用法、「ウニ染め」を生み出しました。技術顧問の藤本滋生さんと一緒に試行錯誤したオリジナルの染料抽出方法は、フランスのデザイナーや研究者からも注目されています。


一緒に働く家族いわく、「こうと決めたらイノシシみたいに突っ走っていく、なんでも挑戦する人」。今回の取材の時期も、新商品の準備を進めている最中で忙しそうでしたが、「すごくおいしい商品ができたんですよ♪ワクワク♪」と話していました。近々発売される新商品もお楽しみに!


(MBC南日本放送/江藤 智恵)

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