17日。JR小倉駅の改札を出るとすぐ、黄色のユニホームに袖を通した集団をそこかしこに見つけることができた。集団は一様に、ミクニワールドスタジアム北九州へと向かっていた。
この日、サッカーJ3リーグに所属するギラヴァンツ北九州の試合は年に1度の「ギラヴァンツサマーフェスティバル」として行われた。スタジアムを1万5000人の満員にするために、選手も小倉駅でのチラシ配りなどに精を出していた。
ギラヴァンツは試合前の時点で、クラブ記録を更新する11試合負けなしと絶好調。ただ、昨年はJ3リーグ最下位と、チームはもがき苦しみ、サポーターはもどかしさを抱えながらスタジアムに足を運ぶシーズンだったはず。それでも、選手に送る声援の量は決して落ちることはなく、実況を担当する私はその姿に常に胸を打たれていた。
試合は2-0で上位の富山に勝利。熱気はすさまじく、昨年の平均入場者数の3倍近い1万2000人が詰めかけたミクスタは歓喜の輪に包まれた。戦ったチームと支えたサポーターが、確かに一つになった夜だった。
「いつの日か、満員のミクニワールドスタジアム北九州でJリーグの実況をしたい」。
4カ月前、私がこのコラムで語った新たな夢。その夢がかなう日も近いのかもしれない。
8月24日(土)毎日新聞掲載
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう